三菱ランサーセディアとは? 短命に終わった特別なランサーを振り返る

三菱自動車の中核を担うモデルとして、1973年の登場以来、長きにわたり親しまれてきたランサー。モータースポーツのベース車両としても知られ、その究極進化形であるランサーエボリューションは現在も高い人気を誇っています。このランサーには、さまざまな派生モデルやサブネームが付与されたモデルが存在しましたが、その中でも比較的短期間のみ存在した「ランサーセディア」について、その特徴と歴史を振り返ります。

6代目ランサーに与えられた「セディア」という名

ランサーセディアという特別な名称が与えられたのは、2000年5月に発売された6代目モデルです。それまで実質的な兄弟車であったミラージュセダンを統合し、ミラージュの販売チャネルだったカープラザ店でも取り扱いが開始されたことに伴い、新しい時代のランサーとしてサブネームが付けられました。

三菱ランサーセディア(6代目)の外観。スタイリッシュなCMでも話題に。三菱ランサーセディア(6代目)の外観。スタイリッシュなCMでも話題に。

この「セディア(CEDIA)」という名前は、「センチュリー(CENTURY)」と「ダイヤモンド(DIAMOND)」を組み合わせた造語です。21世紀に向け、三菱自動車が提案する5ナンバーセダンの新しいスタンダードを目指すという意味が込められて命名されました。

そのため、プラットフォームも全面的に刷新され、ホイールベースや全長が見直されました。これにより、「新世代のセダンパッケージ」が実現され、日本の5ナンバーサイズに収まりながらも、広々とした居住空間と上質な乗り心地が追求されました。

セディアワゴンの登場とエボリューションとの関係

セダンモデルの登場から約半年後の2000年11月には、ステーションワゴンモデルの「ランサーセディアワゴン」が市場に投入されました。こちらは、長年にわたり販売されていた4代目ランサーベースのステーションワゴン、リベロの後継車種としての役割を担いました。

また、2001年2月には、このランサーセディアをベースとした新たな高性能モデルが登場しています。しかし、このモデルには「ランサーセディアエボリューション」という名前ではなく、多くの自動車ファンに知られる「ランサーエボリューション7」として販売されました。セディアの車名がベースモデルに冠されたにもかかわらず、高性能版では従来通り「ランサーエボリューション」の名前が引き継がれた点は注目に値します。

なぜ「セディア」は短命に終わったのか

新世代ランサーとして「セディア」の名前でスタートした6代目モデルでしたが、このサブネームが使われたのは前期型のみとなりました。その背景には、2003年2月に行われたマイナーチェンジのタイミングで、三菱自動車の販売チャネル再編がありました。

当時存在したギャラン店とカープラザ店という二つの主要な販売網が統合され、全車種をどちらの店舗でも取り扱う体制に移行しました。これにより、それまでカープラザ店での販売を示す意味合いも持っていた「セディア」というサブネームで、従来モデルとの差別化を図る必要性が薄れたと判断されたと考えられます。

この販売戦略の変更に伴い、車名は再びシンプルに「ランサー」へと戻されました。結果として、「ランサーセディア」という名称が使用された期間は、わずか3年弱という短命に終わったのです。短い期間ながらも、ランサーセディアは21世紀のスタンダードを目指した意欲的なモデルとして、その歴史に名を刻んでいます。

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