【ワシントン=田中宏幸、ニューヨーク=山本貴徳】米国のトランプ政権は27日、カナダが米国企業にデジタルサービス税(DST)を課すことを理由にすべての貿易協議を打ち切る方針を表明した。カナダに対する新たな関税を1週間以内に発表することも示した。米通商代表部(USTR)はDSTの公正性に関する調査を始める見通しだ。
トランプ大統領が自身のSNSで明らかにした。トランプ氏はカナダによるDSTを「これは米国に対する直接かつ露骨な攻撃だ」と批判し、貿易協議の「即時終了」と、カナダが米国に支払うことになる新たな関税を知らせると投稿した。
ベッセント米財務長官は27日、米CNBCのインタビューで、米通商法301条に基づき、USTRが調査を開始する見通しだと明らかにした。
DSTは、オンライン広告や動画配信などに課される税だ。カナダは2024年に導入し、最初の支払期限が6月30日に迫っていた。米国の業界団体によると、初回の支払いは22年まで遡って適用されるため、グーグルなど米国企業の納税額は最大30億ドル(約4300億円)に達する可能性があるという。
カナダのカーニー首相は27日、記者団に対し、「カナダの利益を最優先に考え、今後も複雑な交渉を進めていく」と述べた。