パーソナルトレーナーのビル・マエダ氏(56歳)は、大腸がんからの回復を経て、特に50代からのフィットネスについて新たな哲学を持つようになった。彼は、短時間で継続可能なシンプルさが、長期的な体力維持の鍵だと語る。体を追い込むのではなく、「賢く」運動することが重要だという。
ビル・マエダ氏(56歳)が、重り入りバックパックでラッキングトレーニングを行う様子
過去の栄光と突然の試練
ブルース・リーに影響を受け、8歳でトレーニングを始めたマエダ氏は、数十年にわたりパーソナルトレーナーとして活躍し、その筋肉質な体でいくつかの映画にも出演した経験を持つ。
しかし2012年、40代前半という若さでステージ3の大腸がんと診断された。緊急の大手術を受け、その後半年間に及ぶ化学療法に耐える日々が続いた。
「健康」を見つめ直すきっかけ
がんからの回復過程は、彼にとって自身のトレーニング哲学を見つめ直す大きな転機となった。以前は「たくましい体」を何よりも重視していたが、これは「魅力的に見えるが、まともなブレーキもステアリングもない車」のようなものだと気がついたという。
マエダ氏は、「がっしりした体格と強力なエンジンだけを求め、それを組み立てるのに時間をかけすぎたあまり、どう運転するか(=健康的に生きるか)を忘れてしまっていた。今はその運転方法を学び直している」と振り返る。
短時間・継続的な「賢い」アプローチ
体力の回復は一度にではなく、少しずつゆっくりと進めた。その過程で、長期的な体力維持には、ハードなトレーニングよりもシンプルで継続的な短時間ワークアウトの方が遥かに効果的であることを実感したという。
彼が現在、主要なルーティンに取り入れているのが、「ラッキング」、つまり重りを入れたバックパックを背負って歩くことだ。これにより、筋力と持久力を同時に効率よく鍛えることができる。
マエダ氏は、「私の体力は10年以上前と比べて低下しているかもしれないが、そこにこだわる必要はない。重要なのは、今の方が以前よりよく動けるし、運動自体を楽しめていることだ」と語る。
長期的な効果を得るためには、自分を極限まで追い込む必要はない。むしろ、毎日の生活に無理なく組み込める短時間トレーニングこそが、特に50代以降の運動習慣定着と健康寿命延伸の鍵となる、と彼は強く推奨している。
結論
ビル・マエダ氏の経験は、年齢を重ねたり、病を経験したりしても、適切なアプローチで体力を取り戻し維持できることを示唆している。ハードな運動神話から離れ、「賢く」継続することに焦点を当てる彼の哲学は、多くの人にとってフィットネスへの新たな視点を提供するだろう。
Source: https://news.yahoo.co.jp/articles/4f9ce9499c3d34832ff9d3debbdb1e8d27a147ce