『朱蒙』で高句麗の建国者チュモンを演じ、絶大な人気を博したソン・イルグクが再び高句麗の王を演じる作品、『風の国』。神話に登場する第3代大武神王(テムシンワン)を、宿命を背負った「呪われた子」として描くこのエンタメ時代劇は、多くのファンにとって『朱蒙』のその後を描く物語としても注目されました。10歳で武功を立て、生涯を国の拡大に捧げた王の知られざる物語が、ソン・イルグクの深みある演技で展開されます。
韓国時代劇『風の国』主演、高句麗王ムヒュルを演じるソン・イルグク
ドラマ『風の国』:運命に翻弄された王子のあらすじ
西暦4年、いまだ王権が確立しない高句麗の第2代ユリ王のもとに王子が誕生します。しかし、「兄弟、父母、そして我が子までも殺し、高句麗を滅亡させる子」という恐ろしい神託が下されました。大神官はユリ王に赤子の殺害を進言。直後から国内に不穏な出来事が続発し、ユリ王は苦渋の決断を下します。ムヒュル(無恤)と名付けられた赤子は、ヘミョン太子によってキリン洞窟の壁画長ヘアプに密かに託され、そこで壁画工として育てられることになります。
外の世界へ憧れを抱くようになったムヒュルは、国と民を心から思うヘミョン太子に感銘を受け、彼を慕い兵士となります。しかし、ある事件の責任を取り太子が自害。息子を守れなかったユリ王への憎悪を募らせたムヒュルは、敵国である扶余(プヨ)の暗殺部隊「黒影(フギョン)」の一員となります。そこで彼は、同じ黒影のドジンと奇妙な友情を育む一方、命を救ってくれた扶余王族のヨン姫と心を通わせるようになります。ユリ王暗殺のため、ムヒュルは扶余の一員として祖国である高句麗への潜入任務を遂行することになるのでした。
『風の国』見どころ:『朱蒙』ファンも必見の冒険と絆の物語
この作品は、“武神”と称される王を“災いの子”“呪われた王子”という対照的な視点から描く、壮大なエンターテイメント時代劇です。復讐を誓った主人公が、真実を知る過程で自らの運命や使命と向き合っていく展開は、観る者をハラハラさせながらも、彼の成長と冒険から目が離せません。まるで冒険漫画のようなヒーロー誕生の物語に、きっと心を躍らせるはずです。
また、『朱蒙』を楽しんだ方であれば、高句麗とテソ王率いる扶余との間で繰り広げられる激しい攻防は、まさに『朱蒙』の物語の続きを見ているかのような面白さがあります。前作チュモン役よりもさらに若々しく、かつ威厳を増したソン・イルグクのムヒュル像もこのドラマの大きな魅力です。
さらに興味深いのは、高句麗と扶余、二つの国の王家の描かれ方の対比です。高句麗王室は、神託に苦悩しながらも我が子の命を救おうとするユリ王、真実を伏せながらムヒュルを見守るヘミョン太子、そしてセリュ王女や異母弟のヨジン王子、さらには真実を知った後のムヒュル自身までもが、家族と国のために困難な状況下で一致団結していく姿が描かれます。それぞれの人物が葛藤を抱えながらも、高句麗という国を守るために力を合わせる絆の物語は、視聴者に深い感動を与えます。