シンガーソングライターの藤井風が、9月5日放送のテレビ朝日系音楽番組『ミュージックステーション(Mステ)』に記念すべき初登場を果たしました。その類を見ないユニークなキャラクターと、既成概念を打ち破る斬新な演出は、放送直後から大きな話題を呼び、SNSでは絶賛の声が飛び交いました。多くの視聴者が彼の唯一無二の表現力に引き込まれ、一夜にして日本中の注目を集める存在となりました。
渋谷を舞台にした前代未聞のパフォーマンス「Hachiko」
藤井風さんの『Mステ』初出演は、トップバッターとして6月にリリースされた楽曲「Hachiko」の披露から幕を開けました。モノクロームで統一されたスタジオに、金髪、純白のコート、薄いサングラスという個性的な装いで現れた藤井さん。背中には、日輪とも車輪とも見える巨大な円形オブジェを背負い、その登場からして異彩を放っていました。
しかし、歌い始めて約2分後、映像は突然切り替わります。舞台は一変、日本の象徴的な場所である渋谷のスクランブル交差点へ。黒一色の衣装に身を包んだ藤井さんが、走行中のオープンバスの上から熱唱するという、まさかの生中継へと移行したのです。さらに驚くべきは、周囲のビルに設置された大型モニター全てに、先ほどのスタジオでの藤井さんの歌唱映像が次々と映し出され、渋谷の街全体が彼のパフォーマンスで埋め尽くされたことでした。これは、オープニングのスタジオ映像が事前収録であり、その映像をバックに“生の藤井風”がコラボレーションするという、きわめて大胆かつ緻密に計算された演出だったのです。想像をはるかに超えるこのサプライズは、視聴者の度肝を抜き、SNS上では「なんだこの演出は!」「すごすぎる」といった驚きの声が殺到しました。
Mステに初登場したシンガーソングライター藤井風。その独特なファッションと存在感が話題を呼んだ。
「Prema」発表!記者会見風ステージでの予測不能なやり取り
渋谷でのゲリラライブ状態という衝撃的な幕開けの後も、藤井風さんの驚くべき仕掛けは続きました。放送開始から約35分後、彼は再び『Mステ』のスタジオに登場。この日リリースされたニューアルバム『Prema』から、表題曲「Prema」をパフォーマンスしました。
今回のステージは、中央にマイクと「Fujii Kaze」と書かれた名前プレートが置かれた演説台が設けられ、まるで記者会見のような趣向が凝らされていました。曲の間奏に入ると、スタジオのフロアにいたテレビ朝日の弘中綾香アナウンサーやリポーターの阿部祐二さんから、藤井さんへ突如として質問が投げかけられたのです。
まず、弘中アナから「イヌ派ですか?ネコ派ですか?」と問われた藤井さんは、「どっちもかわいい」と答えつつ、最終的には「どちらかというと、ゾウ!」と予想外の回答でスタジオを沸かせました。続いて阿部さんからは「今日のパンツの色は?」という質問が飛び出し、これに対し藤井さんは「今日は“Prema”ということで、アルバムジャケットのような黄ばんだ黄色を穿いてます!」と即座に回答。真実かジョークか判別しがたいその答えに、再びスタジオは笑いに包まれました。そして、何事もなかったかのように、彼はそのまま歌唱を再開したのです。番組のトリを飾った彼の圧巻のパフォーマンスと、独特な世界観は、X(旧Twitter)上で「ちょっと深呼吸する時間ください」「一人だけ別次元」と大いに盛り上がりを見せました。
温かい交流:地元岡山への愛とサービス精神
周囲を巻き込む独自の世界観を展開しつつも、藤井風さんからはその気さくな人柄が垣間見える場面もありました。スタジオには、11人組ガールズグループ「ME:I」のRINON(村上璃杏)さんも出演しており、同じ岡山県出身という縁から、彼女は藤井さんへ「ドラッグストアの“ザグザグ”の歌を歌えますか?」と突然のリクエストをしました。
ザグザグは岡山に本社を構える有名なドラッグストアチェーン店であり、この地元ネタに藤井さんは少し照れながらも歌い出し、RINONさんも合わせてデュエット。スタジオは手拍子で温かい空気に包まれ、大いに盛り上がりました。さらに、藤井さんはサービス精神旺盛に、同じく中国地方を中心に展開する「スーパードラッグひまわり」のCMソングまで披露し、その場にいる全員を魅了しました。
規格外の演出から、地元愛あふれる気さくな対応まで、藤井風さんが巻き起こす唯一無二の“風”が、この夜の『Mステ』を席巻しました。彼の独創性と人間的魅力が融合したパフォーマンスは、多くの人々の心に深く刻まれたことでしょう。
参考文献
- Yahoo!ニュース / SmartFLASH