【ニューデリー発】アフガニスタン東部を襲ったマグニチュード(M)6.0の壊滅的な地震から1週間が経過しました。この地震により、2200人を超える尊い命が犠牲となり、AFP通信によると、過去数十年間で同国最悪の地震被害となりました。被災地の住民は余震の恐怖に怯え、屋外での生活を余儀なくされています。国際社会および各国の支援活動は緒に就いたばかりで、大規模な復旧・復興への道のりは依然として不透明です。
悲劇の現場:住民の証言と壊滅的な被害
最も甚大な被害を受けたクナール州ヌルガル地区では、多くが「世界の終わりだと思った」と口を揃えます。同地区に暮らすアブドルタミム・シャリフィさん(40歳)は、時事通信の電話取材に対し、その時の恐怖を生々しく語りました。「多くの家屋が倒れ、大勢の人々が死傷した光景は忘れられません」。シャリフィさんの自宅も完全に倒壊し、集落全体ががれきの山と化しました。
シャリフィさんは、同じ家に住む妹家族や幼い子どもたちを含む、20人以上の親族を一度に失うという筆舌に尽くしがたい悲劇に見舞われました。現在、彼は屋外でテント生活を送っており、「何もかも失ってしまった。家の再建は不可能だ」と深い嘆きと共に語り、当局や外国からの迅速な支援を強く訴えています。
アフガニスタン東部クナール州ヌルガル地区の地震で倒壊した自宅跡に立つ被災者の男性、復旧への道のりは険しい
困難な救援活動と復興への道のり
被災地の多くは険しい山岳地帯に位置しており、地震によって引き起こされた大規模な土砂崩れが道路を寸断し、初期の救助隊の到着を大幅に遅らせました。また、地域一帯の家屋は、揺れに弱い伝統的な日干しれんがなどで造られていたため、被害が広範囲に拡大した一因とみられています。さらに、M4~5クラスの余震とみられる地震が断続的に発生しており、被災者はさらなる恐怖と不安の中で生活しています。復旧活動は困難を極め、インフラの再建には長期的な視点での支援が不可欠です。
タリバン統治下の懸念と女性支援の重要性
イスラム主義組織タリバン暫定政権が統治するアフガニスタンでは、女性への抑圧が続いていることから、女性被災者への支援が後回しにされるのではないかという深刻な懸念も指摘されています。国連女性機関(UNウィメン)は、女性被災者の固有のニーズに効果的に応えるためには、女性自身が援助活動に積極的に携わることが極めて重要であると強調し、そのための環境整備を国際社会に訴えています。
日本からの連帯:ペシャワール会の活動
今回の被災地周辺は、長年にわたりアフガニスタンで医療支援や用水路建設などに尽力し、同国で命を落とされた中村哲医師(当時73歳)が設立した日本のNGO「ペシャワール会」(福岡市)の現地活動地域と重なります。同会の村上優会長はホームページ上で、現地スタッフには被害がなかったことを報告するとともに、人命救助と被災者支援に全力を尽くす方針を表明しています。日本の民間からの温かい連帯が、被災地の希望となっています。
この未曾有の災害に対し、国際社会全体の継続的な関心と具体的な支援が、アフガニスタンの人々が未来を築く上で不可欠です。当サイトは、引き続き現地の状況を注視し、関連情報をお伝えしてまいります。
参考文献
- 時事通信
- AFP通信
- 国連女性機関(UNウィメン)
- ペシャワール会