北大西洋条約機構(NATO)は6月25日のオランダ首脳会議で、加盟国の国防費を「2035年までに名目GDP比5%」へ大幅に引き上げる目標で合意した。従来の2%から大きく引き上げられたこの目標は、ロシアによるウクライナ侵攻や中国の軍事的な台頭を背景とする国際情勢の緊迫化を反映。今回のNATO 国防費 GDP比5%合意は、欧米の安全保障戦略における重要な転換点となる。
2024年6月25日にオランダで開催されたNATO首脳会議。加盟国は国防費のGDP比5%目標で合意した。
欧州の防衛強化と「戦略的自律」
ロシア侵攻や中国の軍事拡大を受け、アメリカがアジアへの軍事資源集中を進める中、欧州はロシア対応など自らの安全保障をより強く担う必要に迫られている。こうした中、欧州連合(EU)は3月、「欧州再軍備計画(ReArm Europe)」を承認し、防衛強化へ最大8000億ユーロ(約125兆円)の資金確保を目指す。その手段として共同債発行も検討。今回のNATO合意は、長年議論された欧州の戦略的自律が名実ともに進む歴史的な節目と言える。
NATO加盟国の国防費がGDP比2%目標を超えつつあり、5%目標へ向かう動向は日本を含む世界の安全保障に影響を与える。
首脳会議の成果と日本の安全保障への示唆
今回のNATO首脳会議は、欧米双方にとって満足のいく成果となった。国防費2%目標は加盟国間で広く達成傾向にあり、引き上げの流れは明確。トランプ大統領が集団的防衛への関与を再確認し、「大成功」と評価したことは、欧州の大きな収穫。共同声明で第5条へのコミットメントが明記され、欧州再軍備計画は前進した。この欧米の防衛強化は東アジア情勢とも連動し、アメリカのアジアシフトが進む中で、日本の安全保障戦略や防衛費にも示唆を与える可能性がある。
結論
今回のNATO首脳会議における国防費GDP比5%目標への合意は、新たな安全保障環境への欧米の対応を加速させる。欧州の防衛力強化と戦略的自律は今後も続くだろう。この世界的な防衛支出増加トレンドは、日本を含む各国に安全保障戦略の見直しを迫る可能性がある。
Source: news.yahoo.co.jp