韓国で「ラブバグ」大発生、山を覆い尽くす映像も…ソウルなどで苦情急増、対策は?

夏が本格化するにつれて個体数が急増している「ラブバグ」と呼ばれるヒイロトゲナシケバエが、ソウル西部地域(恩平区など)や京畿道高陽市などで大量発生し、住民から被害を訴える声が上がっています。近年、気候変動の影響もあり、この虫の大量発生が続いており、生活環境への影響が深刻化しています。

ソウルや京畿道で大量発生した「ラブバグ」(ヒイロトゲナシケバエ)の群れ。恩平区などでの出没を捉えた画像。ソウルや京畿道で大量発生した「ラブバグ」(ヒイロトゲナシケバエ)の群れ。恩平区などでの出没を捉えた画像。

衝撃映像、山を覆い尽くした「ラブバグ」の大群

特に深刻な状況を伝える動画が公開されました。仁川(インチョン)の桂陽山(ケヤンサン)では、息をするのも難しいほどのラブバグの群れが飛び回る様子が捉えられています。山に設置されたデッキ階段や休憩スペースの床には、ラブバグの死骸が黒く積み重なり、まるで厚い敷物のようになっているといいます。動画の撮影者は「虫嫌いな人は山に登って気絶しそうだ。死骸と生きている虫が入り交じり厚い敷物になった」と、その凄まじさを表現しました。

「ラブバグ」とは?益虫か、不快害虫か

ラブバグことヒイロトゲナシケバエは、赤い胸と黒い羽根を持つ小型のハエ目の虫です。人を刺したり病気を媒介したりすることはありません。腐った雑草を食べる分解者であり、花粉を媒介する益虫としての側面も持っています。しかし、厄介なのは、人に向かって飛んでくる習性があるため、強い不快感を誘発することです。この習性や大量発生の傾向から、トウヨウモンカゲロウなどと同様に、夏季に個体数が急増し生活環境に影響を与える「突発昆虫」や「不快害虫」に分類されています。

発生地域はソウル全域・京畿道に拡大、住民苦情は2倍超に

ラブバグの大量発生は、2022年からソウル北西部を中心に確認されていましたが、最近ではソウル全域と京畿道地域でも目撃されるようになり、その範囲は拡大しています。ソウル市に寄せられたヒイロトゲナシケバエに関する苦情件数も急増しており、昨年(2023年)は9296件に達し、前年(2022年)の4418件から2倍以上に増加しました。これは、ラブバグ問題が一時的なものではなく、広範囲にわたる社会問題となっていることを示しています。

家庭や野外でできる「ラブバグ」対策

こうした状況に対し、家庭や野外で実施できるラブバグ対策が挙げられています。具体的な予防策としては、夜間照明の明るさを最小限に抑えること、防虫網の点検や設置、外出時には虫を引きつけにくい暗い色の服を着用することなどがあります。また、車への付着による腐食を防ぐため、こまめな洗車も推奨されています。捕獲には虫取りトラップの設置が有効です。壁や窓に付着した個体には、殺虫剤ではなく、ちり紙やほうきで取り除くか、水をかける方法が効果的とされています。

今回のラブバグ大量発生は、気候変動などの影響で今後も同様の現象が発生する可能性を示唆しています。益虫でありながらも住民に不快感を与えるこの虫への対策は、韓国における新たな環境問題の一つとして認識されつつあります。

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