タレントのラサール石井氏(69)は30日、国会内で記者会見を開き、社民党から参院選(7月3日公示、20日投開票)比例代表に出馬する考えを正式に表明した。ラサール氏は「芸能人は政治を語るな、政権批判する者は口を閉じろと言われてきたが、黙っているのはやめた。政治発言をすることを仕事としてこれからやっていく」と語気を強め、「国民の皆さんと一緒に叫び、行動したい」と強調した。また、過去にワイドショーで「政治的発信をしているから使えない」と撮り直しを指示された経験も明らかにした。
参院選出馬表明記者会見で、社民党のラサール石井氏(左)と福島瑞穂党首
出馬表明の動機と背景
ラサール石井氏はこれまでもSNSで政権に批判的な立場を発信したり、反戦をテーマにした舞台活動を行ってきた。過去に政界入りの打診を受けたこともあったが、断ってきたという。今回改めて出馬を決意した理由について、「年齢的に最後のチャンス」と感じたことに加え、「妻も『あなたの違った所も見てみたい』と背中を押してくれた」と述べた。
今の社会への危機感「ナチズムと同じ」
ラサール氏は、現在の社会の風潮に対して強い危機感を表明した。「一部の富裕層と、8割の生きづらい人々に分断されている」と現状を分析。「外国人を排斥したり、弱者を差別したり、誰かをおとしめて這い上がろうとする世界は、かつてのナチズムと同じではないか」と厳しく批判した。その上で、「道を歩いているだけで何か笑顔が浮かんでくる、何気なく笑顔になれるように、明日も今日も不安にならない気持ちになる国を作っていきたい」と、目指す社会の姿を訴えた。
福島党首からの熱烈オファー
今回の社民党からの出馬は、福島瑞穂党首からの熱烈なオファーがきっかけだったと明かした。「即答したわけではない。悩んだ。一度は断ったが、非常に熱心に口説いてもらった」と経緯を振り返り、「何より孤軍奮闘されている福島さんのパワーを尊敬している」と述べ、福島党首への敬意を示した。同席した福島党首は、ラサール氏の出馬表明を「本当にうれしく思う」と歓迎。「ラサール石井さんとともに社民党を変え、社会を変え、政治を変えるぞ」と意気込みを語った。
今後の活動と略歴
ラサール石井氏が出馬を決心したのは5月中旬で、社民党への入党は5月20日付。今後の党内での役職は現時点では白紙だという。
ラサール石井氏は昭和30年、大阪市生まれ。鹿児島県のラ・サール高校を卒業したことにちなんで芸名を名乗っている。「コント赤信号」のメンバーとして長く活動し、舞台やドラマ、映画など、幅広い分野で俳優や演出家として活躍している。
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