いよいよ参議院選挙(7月3日公示、20日投開票)が迫り、その火ぶたが切られようとしています。今回の選挙の最大の注目点は、自民党と公明党の連立与党が改選前の50議席を維持できるかどうかです。もし50議席を割り込めば、自公両党で過半数割れとなり、政権運営はこれまで以上に厳しいものとなるでしょう。選挙前の情勢予測では、与党にとって状況は厳しく、過半数割れが濃厚との情報も出ています。
自公連立与党の厳しい情勢
全国紙の政治担当記者は、現在の自民党の状況について厳しい見方を示しています。6月22日に行われた東京都議会議員選挙の結果も、その一端を物語っています。小泉進次郎農相によるコメ価格への取り組みは一時的な注目しか集めず、むしろ卸売業者を敵視したかのような発言が反発を招いています。また、石破茂首相が打ち出した国民一人当たり2万円の給付金も、国民からの評判は芳しくありません。さらに、自民党の要職を務める森山裕幹事長が消費減税に反対し、「消費税を守る」と宣言したことも、有権者の反感を買う要因となったようです。これらの要因が重なり、自公連立与党は逆風にさらされています。
勢いを増す国民民主党と参政党
このような自公の苦境とは対照的に、今回の参院選で躍進が予想されているのが、玉木雄一郎氏率いる国民民主党と、保守系新党の参政党です。特に参政党は、先の東京都議選で3議席を獲得し、今回の参院選では一躍ダークホースとして注目されています。報道各社は都議選での参政党の躍進を事前に予測できず、大きな誤算となりました。前出の全国紙記者は、都議選後の反省会で部員全員が予想外の結果に頭を抱えたと明かしています。「日本人ファースト」を掲げる参政党の公約には賛否両論ありますが、勢いに乗っていることは間違いありません。
石丸伸二氏率いる「再生の道」の挑戦
一方、東京都議選で擁立した候補者42人全てが落選という厳しい結果に終わったのが、元広島県安芸高田市長である石丸伸二氏(42)率いる政治団体「再生の道」です。同党は今回の参院選で10人の候補者を擁立しています。選挙区からは東京都選挙区に吉田綾氏が唯一出馬し、残る9人は比例代表での出馬となります。代表の石丸氏は7月1日に都内で行われた会見で、参院選の目標について「国政政党の要件を満たすこと」と語りました。国政政党となるためには、現職の国会議員が5人以上いるか、直近の国政選挙で有効投票総数の2%以上の得票率を達成するかのいずれかを満たす必要があります。
都議選後に開かれた会見で参院選への意気込みを語る石丸伸二氏
情勢調査に見る「再生の道」の現状
石丸氏は、唯一の選挙区候補者である吉田氏の応援に注力し、最も有権者の多い東京選挙区での「再生の道」の周知度向上を図る戦略です。比例代表での得票は、東京での獲得票に大きく依存することになり、現在の石丸氏の「影響力」が直接反映される形となります。そうした中、ある政党の情勢調査からは衝撃的な数字が見て取れます。全国47都道府県を対象とした比例代表の得票率予測で、「再生の道」は東京都を除いた地域でおおよそ1~1.5%程度しか獲得できない公算が高まっています。これは東京都を除けば、立花孝志氏が代表を務めるNHK党を下回るレベルです。頼みの東京選挙区でも、比例代表での得票率は3.5%程度に留まる予測です。本来であれば5%以上を目指したいところですが、現時点での有権者の反応は厳しいと言わざるを得ません。
既存政党の低迷と石丸氏の可能性
しかし、このような厳しい予測がある一方で、別の分析も存在します。前出の全国紙記者は、「自民党や立憲民主党といった既存政党が伸び悩んでいる状況を考慮すると、『再生の道』が1議席を獲得できる可能性が出てきている」と指摘します。「状況によっては複数議席を獲得することも十分にあり得る」と付け加えています。都議選で参政党の躍進を見抜けなかったように、事前調査による予測に過度に依存することは危険です。今回は石丸氏自身も前面に出て選挙戦を展開するため、再び「旋風」を巻き起こす可能性も十分に考えられます。
「再生の道」が抱える懸念材料
ただし、「再生の道」には懸念材料も存在します。都議選では、世田谷区から立候補した鳥海彩氏が選挙後に党を離脱しました。その際、再生の党での選挙戦について自身のX(旧Twitter)上で、「石丸氏の一部のファンの方からのバッシングが精神衛生的にマイナスだった」と、一部支持者からの誹謗中傷があったことを明かし、話題となりました。「再生の道」は熱狂的な支持者が多いことが強みである反面、他の陣営とのトラブルを警戒する声もあります。選対が支持者の行動を統制できるかどうかが重要になりますが、選挙に精通した人材が石丸陣営にいるのかが気になるところだとテレビ局記者は語っています。
政治評論家が見る「再生の道」の将来性
政治評論家の有馬晴海氏は、「全国比例で1人でも2人でも当選者を出せれば、石丸新党の存在感を示すことができる」と分析します。都知事選の際にも全国から熱心なファンが石丸氏の応援に駆けつけており、政治的なステージが上がれば、彼に期待している人々は今後も継続して応援し続ける可能性が高いと言います。「石丸さんが狙っていると言われる3年後の都知事選に向けて、今回の参院選で弾みがつけられるでしょう」と、将来への展望を語っています。
石丸氏の「キャラ変」と今後の展望
先の記者会見では、以前見られたマスコミとの対立姿勢は影を潜め、記者とフランクなやり取りをする場面も見られました。「キャラ変」したことで、都知事選のような「風」を再び吹かせることができるのか、その動向が注目されます。今回の参院選は、自公連立与党の試金石であると同時に、新興勢力、特に石丸氏率いる「再生の道」が国政の場でどこまで存在感を示せるかの重要な機会となるでしょう。
参考文献
- FRIDAYデジタル
- Yahoo!ニュース