著名なハリウッド俳優ウーピー・ゴールドバーグ氏が、先日不倫スキャンダルで辞任した米バイオ企業アストロノマーの前CEOと人事責任者(CPO)を擁護する発言を行い、大きな議論を巻き起こしている。彼女の発言は、職場における倫理規範と、著名人の公言が社会に与える影響について、改めて問いを投げかけている。
ゴールドバーグ氏の擁護論と波紋
英デイリーメールなどの報道によると、ゴールドバーグ氏はABCの時事トークショー番組に出演した際、アストロノマー社のアンディ・バイロン前最高経営責任者(CEO)とクリスチャン・キャボット最高人事責任者(CPO)の不倫事件に言及した。「時々人の気持ちはどうしようもなくなる。彼女はベッドでは人事責任者ではない」と発言し、個人の感情を尊重する立場を示した。
さらに、「2人が無意識にこの関係が明るみに出ることを望んだのかもしれない。幸せな結婚生活を送っていたかは不明だが、もし人目につきたくないならコンサート会場に行くべきではなかった」と指摘。広大なスタジアムで自分たちが見つからないと考えるのは「間抜け」であり、偶然の「脱出口」を見出した形だと付け加えた。しかし、放送直後から視聴者からの批判が殺到。番組司会者も「彼らの子どもと配偶者に慰労を伝えたい。CEOは人事責任者と恋愛関係を結んではならない」と、職場倫理の重要性を強調した。
ウーピー・ゴールドバーグがABCトークショーで企業CEOの不倫スキャンダルについて発言する様子
SNSで噴出する非難の嵐:職場倫理と権力乱用への警鐘
ソーシャルメディア(Xなど)では、ゴールドバーグ氏の発言に対し非難の声が激しく上がった。「CEOが人事責任者とベッドを共にするのは明白な職場内倫理違反だ」「ウーピーの道徳基準は揺らいでいる。配偶者を欺くだけでなく、職場の権力乱用まで問題視されるべきだ」といったコメントが相次ぎ、企業内での権力関係を伴う恋愛関係の不適切性、そしてそれに対する著名人の不用意な擁護が社会に与える負の影響が強く指摘された。
スキャンダルの経緯とアストロノマー社の対応
今回のスキャンダルは、マサチューセッツ州ボストンで開かれた人気バンド、コールドプレイのライブコンサートで明るみに出た。観客席にいたバイロン前CEOとキャボットCPOの親密な姿が大型電光掲示板に映し出され、慌てて身を隠す2人の様子がSNSを通じて急速に拡散。数千万回以上再生され、身元が特定されると同時に世論は一斉に非難に転じた。これを受け、アストロノマー社は18日、「取締役会が関連事案に対する調査を開始した」と発表。翌日にはバイロン氏がCEOを辞任するに至った。
この一連の出来事は、公的な立場にある人物の個人的な行動が社会に与える影響の大きさと、企業における厳格な職場倫理の遵守がいかに重要であるかを改めて浮き彫りにした。ウーピー・ゴールドバーグ氏の発言は、個人の感情と社会が求める規範との間の複雑な対立を示す象徴的な事例となっている。