静岡県伊東市の田久保眞紀市長(55)に、当選直後から「学歴詐称」の疑惑が浮上している。市長は会見で「私が経歴を詐称していることは一切ない」と疑惑を否定。しかし、公式な最終学歴としてきた「東洋大学法学部卒業」が実際は「除籍」であったことを認め、進退を問われる事態となっている。支援者からの「責任を全うしろ」「逃げるな」という声に応じ、続投の意向を示しているが、その説明には疑義が呈されている。
伊東市長の田久保眞紀氏。経歴詐称疑惑渦中の人物
除籍だった大学経歴:卒業との決定的な違い
伊東市長選で初当選した田久保氏は、市の広報誌などで「平成4年東洋大学法学部卒業」と記載してきた。しかし、告発によれば、実際は卒業ではなく「除籍」であった。市長自身も会見でこの事実を認めた。「除籍」は、自主的な中退ではなく、学費未納や成績不良など大学側の理由によって学籍を失うことを意味する。一般的に、除籍では卒業証書や卒業証明書は発行されない。
なぜ問題視されるのか:意図的な「隠蔽」の疑い
問題の核心は、単なる勘違いではなく、意図的な経歴の「隠蔽」や「詐称」にあたるのではないかという点にある。田久保氏は会見で「卒業と認識していた」と主張したが、その後、卒業を証明する書類の提出を頑なに拒み、さらに議会で提示したとされる「卒業証書」が偽物だったと中島弘道議長が明言したことで、疑惑は深まっている。全国紙社会部記者も、「本人は“卒業と認識”と主張しているが、告発後に卒業証明を拒み、議長に見せたという書類が偽物だったとなると、意図的に隠した疑いが強まる」と指摘している。
今後の展開:百条委員会設置へ
中島議長が「卒業証書が偽物だったとわかった」と断定したことを受け、伊東市議会では今後、地方自治法に基づく「百条委員会」の設置が検討されている。百条委員会は、強い調査権限を持つ特別委員会であり、関係者の証言や記録提出を求めることができる。また、田久保市長に対する辞職勧告決議案の提出も検討されており、これが可決される見込みだと報じられている。市長側は、弁護士同席のもと「大学卒業の経歴は選挙中に自ら公表していないため、公職選挙法上は問題ない」と主張しているが、政治的・道義的責任は免れない状況だ。
前市長、納得せず:僅差敗北の背景
今回の事態に、前回の市長選で田久保氏に僅差で敗れた小野達也前市長(62)は納得していない。小野氏は2期8年務めた現職として選挙に臨んだが、新人である田久保氏に1782票差で敗れた。もし学歴に関する正確な情報が選挙期間中に有権者に伝わっていたならば、選挙結果が変わった可能性も指摘されており、前市長やその支持者からの反発も当然のことと言えるだろう。
まとめ
伊東市の田久保眞紀市長に浮上した学歴詐称疑惑は、単なる学歴の誤りを超え、意図的な経歴詐称の疑いや議会への偽造書類提出疑惑に発展している。市長は疑惑を否定し続投の意向を示しているものの、市議会は百条委員会の設置や辞職勧告決議案の提出を検討しており、政治的な責任追及が進む見込みだ。わずかな票差で敗れた前市長も納得しておらず、伊東市政の混乱は避けられない情勢となっている。