【ロンドン=板東和正】英国の欧州連合(EU)離脱が争点となる英総選挙が12日に迫る中、ジョンソン首相は、2日に英国に到着したトランプ米大統領が総選挙の干渉ととられるような発言をしないか警戒している。
トランプ氏は2日、北大西洋条約機構(NATO)の創設70周年を記念する首脳会議に出席するため、英国を訪問した。
これに先立ち、ジョンソン氏は11月29日、英ロンドン放送のインタビューに応じ、「米英は互いに選挙戦に関与しないのが最善だ」と発言した。英インディペンデント紙(電子版)は今月2日、「ジョンソン氏が(選挙期間中の)トランプ氏の訪英に神経質になっている」とし、「トランプ氏に選挙に干渉しないよう公の場で警告する異例の措置を取った」と分析した。
ジョンソン氏が警戒を強めるのは、トランプ氏が今年10月末、ロンドン放送に電話出演した際、ジョンソン氏とEUが合意した離脱協定案を批判したからだ。トランプ氏は電話出演で、最大野党・労働党のコービン党首についても「英国を悪い方向に導く」と非難し、英国内で選挙干渉との反発が起きた。
さらに、ジョンソン氏は3、4日のNATO首脳会議の期間中、トランプ氏との一対一の会談を行わない予定だ。総選挙を控えるジョンソン氏が英国内で不人気なトランプ氏との接触を避けているとの見方もある。英調査会社「ユーガブ」が昨年11月から1年間、約6300人の英国民に調査したところ、トランプ氏への肯定的な意見はわずか18%で、否定的な意見が67%だった。
一方、英紙テレグラフ(同)によると、トランプ氏はジョンソン氏の発言を受けて、総選挙に干渉しないことに同意したという。