元タレントの中居正広氏に関する女性トラブルを端緒とした一連の問題を受け、フジテレビが抜本的な組織再生・改革に乗り出している。その主要な柱の一つとして、編成・制作部門からアナウンス室を独立させ、権限と責任を持つ局として再編する方針が打ち出された。これは、これまでの従属的な関係性が問題の温床となったとの反省に基づく措置であり、「フジテレビ アナウンス局 独立」という大きな組織改編が注目を集めている。
フジテレビは7月10日付で大規模な人事異動を発令する予定だ。これにより、現行の編成局アナウンス室は、コーポレート本部アナウンス局として新たなスタートを切る。この独立・局への格上げと並行して、フジテレビが喫緊の課題とするのが、「人材流出阻止」と「若手アナウンサー育成」である。
近年、フジテレビからは報道番組の顔であった椿原慶子アナウンサー、朝の顔として活躍した永島優美アナウンサー、さらには入社3年目の岸本理沙アナウンサーなど、複数のアナウンサーが相次いで退社しており、社内では危機感が募っていた。
アナウンサーの定着と成長を促進するため、フジテレビ関係者によると「アナウンサー育成プランをスタートさせる」という。これは、単に番組に起用するだけでなく、継続的な育成を主眼に置くものだ。また、アナウンサーの人権と健全な勤務体制に配慮しつつ、特に若手が飛躍できる可能性を広げるため、新設されるアナウンス局内に「マネジメント・プロデュース部」を設置する。
この新部署の担当者は、特に若手アナウンサーのキャリアプラン作成に深く関与し、担当番組へのキャスティング戦略についても共に検討を進めることになるという。さらに、アナウンサーと制作現場の間に入り、番組出演に関する交渉や調整役を担ったり、若手アナウンサーの認知度向上に向けたプロモーションなども積極的に行っていく方針だ。
佐々木恭子フジテレビアナウンサー、局次長昇進へ
一連の問題が発生した当時、アナウンス室の部長を務めていた佐々木恭子アナウンサー(52歳)が、新体制下でコーポレート本部アナウンス局の局次長に昇進することも明らかになった。
フジテレビは6月5日、中居氏のトラブルに関与したとされる元編成幹部B氏らの処分を発表している。その発表の中で、「調査報告書におけるF氏(事案当時、編成制作局アナウンス室部長)については、産業医等の医師や上長の指示等に従い、女性Aに配慮した対応を一貫して行っていたことから、処分の対象とならなかった」と異例の言及があった。当時、このF氏の役職名が佐々木アナウンサーのそれと一致していたことから、彼女の対応に注目が集まっていた経緯がある。
一連の問題において、佐々木アナウンサーに対して世間から批判的な声が一部上がっていた中で、社内には彼女に同情し「名誉回復してほしい」と願う声が多くあったとされる。今回の局次長への昇進は、こうした社内の期待に応える形となり、プラスの人事効果を生む可能性が指摘されている。フジテレビが推し進める組織改革が、今後の同局にどのような影響を与えるのか、その動向が注目される。