NHK朝ドラ『あんぱん』視聴率が過去最高を記録、国民的ドラマとしての牽引力に迫る

今田美桜(28)主演のNHK連続テレビ小説『あんぱん』が、その視聴率において新たな高みを見せています。これまでも16%台の高い数値を維持してきましたが、7月2日放送回ではついに世帯視聴率17.8%(関東地区/ビデオリサーチ調べ)を記録しました。これは、これまでの番組最高記録であった世帯16.8%(6月23日・7月1日)を大きく上回る快挙です。朝ドラの世帯視聴率が17.0%を超えるのは、『あんぱん』の2作前、伊藤沙莉(31)主演の『虎に翼』(2024年前期)の最終回(9月27日)以来、およそ9か月ぶりのこととなります。

『あんぱん』の物語と社会的な注目度

『あんぱん』は、国民的な人気キャラクター「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかし氏と、その妻である小松暢さん夫妻をモチーフにした作品です。今田美桜さんが暢さんをモデルにしたヒロイン・朝田のぶを演じ、北村匠海(27)氏がやなせ氏をモデルにした柳井嵩を演じています。このドラマは、単なる個人の物語に留まらず、激動の昭和を生き抜く夫婦の姿を通して、当時の社会情勢や人々の暮らしを描いており、その時代背景が多くの視聴者の関心を引きつけています。

視聴率上昇の背景:戦争描写と豪華キャストの力

特に視聴率が伸び悩むどころか勢いを増したのが、太平洋戦争の時代が描かれた第10週(6月2日~6日)からの展開でした。この時期は、本来の主人公であるのぶ(今田)の出番が減り、嵩(北村)に焦点が当てられる場面が多くなりました。しかし、戦争の悲惨さや困難さを深く描いた完成度の高いシナリオは視聴者から絶賛され、第11週、第12週はともに週平均世帯視聴率16.0%と番組最高を記録しました。

また、この期間には豪華ゲストが登場する「神回」と称されるエピソードもありました。6月19日放送回では、嵐の二宮和也(42)氏演じる嵩の亡き父・清が、瀕死状態の嵩が見た夢として再登場し、視聴者に深い感動を与えました。さらに、妻夫木聡(44)氏演じる上官・八木信之介上等兵が、嵩を相手に圧巻の演技を披露し、物語に一層の重みと緊迫感をもたらしました。これらの要素が複合的に作用し、視聴者の離脱を防ぎ、むしろ新たな注目を集める結果となったと言えます。

戦後編突入と新キャラクターの登場

第13週(6月23日~27日)からは戦後編に突入し、物語は新たなフェーズに入りました。のぶは新聞社「高知新報」の編集局主任・東海林明(しょうじ・あきら)と出会いを経て、第14週(6月30日~7月4日)からは同社の記者として働き始めます。

NHK朝ドラ『あんぱん』で編集局主任・東海林明を演じる津田健次郎氏の写真NHK朝ドラ『あんぱん』で編集局主任・東海林明を演じる津田健次郎氏の写真

東海林明役を演じるのは、声優としても俳優としても絶大な人気を誇る津田健次郎(54)氏です。津田氏の登場は、SNS上でも大きな話題となり、その存在感と演技が視聴者をさらに惹きつけています。ヒロインが記者として新たな一歩を踏み出す展開と、人気俳優の登場が相まって、物語への関心は一層高まっています。

今後の展望と社会的な影響

現在、『あんぱん』は、前々作で最高視聴率18.9%(24年8月16日)を記録し、映画化の報道まであった『虎に翼』に追いつく勢いで数字を伸ばしています。『虎に翼』が描いた女性法曹の物語が社会的な議論を呼んだように、『あんぱん』もまた、戦争、戦後復興、そしてメディアというテーマを通して、現代社会にも通じるメッセージを投げかけています。単なるエンターテイメントとしてだけでなく、日本の近代史の一端を描く作品として、今後さらに社会的な注目を集める可能性があります。このままの勢いを保てば、国民的ドラマとしての地位を確固たるものにするでしょう。

Source link