【ワシントン=住井亨介】米与党・共和党は2日、トランプ大統領のウクライナ疑惑をめぐる下院委員会での弾劾訴追調査に関して反論書を公表した。「証拠の精査で見返り、贈収賄、強要、権力乱用のいずれもないことは明らか」と疑惑を完全否定した。野党・民主党が多数を占める下院の情報特別委は、公聴会での証言をまとめた報告書を3日に承認採決する予定で、事前の反論で採決を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。
反論書は、トランプ氏が政敵のバイデン前副大統領と息子のハンター氏をめぐる問題などを調査するようウクライナ政府に圧力をかけたとは立証されていないと主張。米ウクライナ首脳会談と対ウクライナ軍事支援が調査の見返りだったとする見方についても、トランプ氏が「保留した」とは証明されていないと退けた。
汚職が蔓延(まんえん)していたウクライナの状況からトランプ氏が同国に「懐疑的だった」とし、首脳会談と軍事支援への消極的姿勢は「全く慎重なものだった」と判断した。
また、反論書はハンター氏の問題をめぐる「トランプ氏の懸念は妥当」とも指摘し、トランプ氏の主張を全面的に擁護する形となっている。