【リオデジャネイロ=大月美佳、北京=吉永亜希子】新興国で構成するBRICS首脳会議は6日、ブラジル・リオデジャネイロで開幕した。1月に加盟したインドネシアを含む10か国体制で初の首脳会議となるが、拡大を主導した中国やロシアのトップは対面出席を見送った。足並みを乱しつつも、米国のトランプ大統領の関税政策に対抗し、多国間主義を擁護する首脳宣言を採択する見通しだ。
ブラジルのルラ・ダシルバ大統領は冒頭の演説で「多国間主義が攻撃を受けている今、我々の自主性は再び脅威にさらされている。気候変動や貿易体制など苦労して勝ち取った成果が脅かされている」と述べた。会議は7日まで。事務局によると、準加盟国と位置付けられた「パートナー国」や招待国を含む28か国の代表らが出席する。
中国の習近平(シージンピン)国家主席は欠席し、李強(リーチャン)首相が代役を務めた。習氏の欠席は2013年の国家主席就任後、初めて。香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは背景として、ルラ氏が5月に訪中するなど両氏が首脳会談を重ねている点を中国側関係者が挙げたと報じた。7日に中国で開かれる戦後80年関連の記念式典を重視した可能性もある。
ウクライナ侵略を巡り国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているプーチン露大統領はオンラインで参加する。エジプト、イランの両大統領は中東情勢の緊張などを理由に欠席した。ブラジル教育・開発研究所のアレシャンドレ・アンドレアッタ教授は「中露トップの不在は会議の影響力を低下させ、首脳宣言の発信力に響く可能性がある」と指摘した。