アーティストのコムアイ氏(元「水曜日のカンパネラ」ボーカル)が、自身のインスタグラムストーリーズで政治への考え、特に参政党について言及し、注目を集めている。自身と参政党支持層にはライフスタイルに関する共通点が多いと認めつつも、特定の政策や姿勢には強い拒否感を示した。
ライフスタイルの共通点と政治思想のねじれ
コムアイ氏はインスタグラムのストーリーズで、「参政党否定ばっかりしてきたけどさ」「私かなり参政党支持層と近い好み持ってるんだよね」と意外な切り口で語り始めた。具体的には、「ワクチンなるべく打ちたくないし」「オーガニック志向だし」「抗生物質も五年に一度くらいしか飲まないし」「国内ではないけど自然出産だし」「日本の伝統文化に誇り持ってるし習ってるし」といった点を挙げ、これらの個人的な嗜好や価値観が参政党が訴える方向性と一致する部分があることを認めた。しかし、「わかるよ?わかるけどさ!って気持ち」と、こうした共通点がありながらも、政治思想としては受け入れられないという複雑な心境を吐露した。
外国人・LGBTQ+への姿勢、新憲法案への強い「無理」
こうしたライフスタイルの共通点を認めつつも、コムアイ氏は参政党の特定のスタンスには決定的な拒否反応を示している。「私にとって、たとえば野菜は在来種食べたいことと日本人ファーストって言えちゃうことは全然話が違う」と述べ、個人的な食へのこだわりと排他的な国家主義を結びつけることに違和感を表明。さらに、「外国人やLGBTQを条件付きで受け入れようとする姿勢も差別的で無理!」と、性的少数者や外国人に対する限定的な受容姿勢を厳しく批判した。また、参政党が提示する「新憲法内容も無理なもの多過ぎて吐きそうで省略するけど」と、憲法草案に対しても強い拒否反応を示し、自身の政治的価値観との決定的な隔たりを明確にした。
ナチスとの比較、既存政党への評価と注文
コムアイ氏は、参政党が「最初聞こえがよいことで支持を集めた」点を挙げ、「ナチスが最初聞こえがよいことで支持を集めたその内容をふわっふわっと思い出すんだよね」「だから無理!ってセンサーが働く」と、その支持拡大の手法や一部の思想に歴史上のナチスを重ね合わせる懸念を示した。一方で、「私の周りではこの政治思想と趣味志向の組み合わせの人結構いると思ってて」「自分でねじれに思うのも変なことだし」と、自身の抱える「政治思想と趣味志向のねじれ」が、決して特別なものではないと感じている様子。既存のリベラル政党に対しても、「リベラル側がいろんな人たちを取り込んで来れなかったことを考えないと長期目線では否定ばっかじゃ進めないというか面白くないなと思う」「新党じゃないと無理?」と、広く支持を集めきれていない現状を指摘した。
政治談話の雰囲気については、「選挙のたびに政治について話して良い雰囲気が増してきてることはとても良いと思う」と肯定的に捉え、「本来新聞社がもっとできたはずのツッコミができていないから」「しんぶん赤旗が自民をスクープし続けてくれたことへの感謝と応援もあり」と、特定メディアの役割にも言及。
参政党について言及したアーティスト、コムアイさん
自身の具体的な投票先については、「政策も女性議員が多いのも良いし」「気候危機対策をどこよりも訴えてくれてるから私が今回共産入れるけど社民もありだと思う」と、日本共産党への投票意向を明言しつつ、社会民主党も選択肢にあるとした。立憲民主党については「立憲は人によりすぎて政党として応援しづらいかなあ」「けど入れる人いるのもわかる」と、やや距離を置いた見解を示した。最後に、「自分の考えと一番近い政党を選ぶ」「私も無知なんで…おしえて~~」とフォロワーとの政治的な議論を呼びかけた。
まとめ:複雑な立ち位置と開かれた対話の呼びかけ
今回のコムアイ氏の一連の投稿は、個人のライフスタイルや嗜好と、政治思想が常に一致するわけではないという現代社会の複雑さを示唆している。参政党の主張する一部に共感できる点がありながらも、差別的・排他的と映る姿勢や憲法観には明確に反対の意を示した。同時に、既存のリベラル政党の課題にも触れ、自身の投票先を明かしつつ、フォロワーに対して開かれた対話を求める姿勢を見せた。この発言は、有名人による政治的言及のあり方や、有権者が多様な価値観を持つ政党や政治家をどのように判断するかについて、改めて考えるきっかけを提供するものと言える。
参照:まいどなニュース