36人が犠牲になった京都アニメーション放火殺人事件に絡み、インターネット上の「まとめサイト」に虚偽の内容を掲載されたとして、NHKがサイトのサーバー管理会社(大阪市北区)に発信者情報の開示を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(末永雅之裁判官)は発信者の氏名や住所の開示を命じた。NHKは発信者に損害賠償を請求する方針。判決は3日付。
判決によると、発信者はネット上の複数の投稿を編集し、NHKディレクターの実名を挙げて「なぜ放火犯の遺留品を回収したのか」とするタイトルを付けたまとめ記事を7月26日に公開。記事の中では「警察よりも早く、事件の犯人の遺留品を回収するNHK取材クルー」「N〇Kの依頼殺人じゃね?」「NHK共犯説唱えられても仕方ないぞ」などの投稿を掲載した。
管理会社側は「表現活動は本来自由であるべきで、NHKは公共的立場も考えれば社会からの批評に寛容であるべきだ」などと主張。これに対しNHK側はホームページで「事実無根だ」とするコメントを公表し、訴訟では損害賠償請求のための発信者の情報開示を求めていた。
末永裁判官は判決理由で、掲載内容は虚偽だとした上で、NHKが放火事件に関与しているかのような印象を与えるタイトルを付け、投稿内容を編集した発信者の責任を認定。「NHKの社会的評価を低下させる表現行為」だと指摘した。