7月20日投開票の第27回参議院議員通常選挙が公示され、17日間の選挙戦が全国各地で始まりました。候補者たちは街頭で有権者への訴えを熱心に行っています。特に注目を集めている政党の一つが、近年勢いを増す参政党です。参院選の前哨戦と位置付けられた6月の東京都議会議員選挙では、初挑戦ながら3名の候補者が当選を果たし、党の躍進を印象付けました。さらに、無所属で活動していた梅村みずほ参院議員が6月28日付で入党したことで、同党は国会議員5名以上という政党要件を満たし、代表である神谷宗幣参院議員は各局の党首討論会に出演するなど、メディアへの露出も増加しています。
参政党の神谷宗幣代表は、参院選公示日である3日午前、候補者の応援のため東京・銀座4丁目交差点に登場しました。党のイメージカラーである橙色のネクタイを締め、マイクを握った神谷氏は、参政党が掲げる反グローバリズムや減税策などについて提言を行い、聴衆からは拍手が起こりました。
参政党の神谷宗幣代表が参院選の街頭演説で訴え。オレンジ色のネクタイ姿。
続けて神谷代表は、日本経済の弱体化が進み、それに伴い人口減少が進んでいる現状を指摘しました。党として少子化対策に積極的に取り組む方針を打ち出し、その中で以下のように述べました。
「少子化にも、ものすごく力を入れていきます。今まで間違えてたんですよ、男女共同参画とか。もちろん女性の社会進出はいいことです。どんどん働いてもらえれば結構。けれども、子供産めるのも若い女性しかいないわけですよ。これを言うと差別だと言う人がいますけど、違います。現実です。いいですか。男性や、申し訳ないけど高齢の女性は、子どもが産めない。だから日本の人口を維持していこうと思ったら、若い女性に “子ども産みたいな”とか “子どもを産んだ方が安心して暮らせるな”という社会状況を作らないといけないのに、働け働け、とやり過ぎちゃったわけですよ。やり過ぎたんです。だから少しバランスを取って、大学や高校を出たら働いてもいい。働くもいいし、家庭に入って子ども育てるのもいいですよと。子育てだけだったら収入がなくなるから、子ども1人あたり月10万円の教育給付金を参政党は渡したいと考えています」
神谷代表のこの発言に対し、全国紙や通信社、民放系メディアは「高齢女性は子ども産めない」といった部分を見出しにした記事を配信しました。この発言はX(旧Twitter)上で一部の反発を招きましたが、神谷代表は演説後の囲み取材で、「60代、70代はむずかしい」として生物学的な限界について説明しました。また、3日から4日にかけて自身のXを更新し、一部報道を「印象操作」であると指摘した上で、「女性には出産適齢期というものがあることを全ての国民に周知しましょう」と投稿しました。
しかし、神谷代表は前述の発言の冒頭で「男女共同参画は間違いだった」という趣旨の発言をしています。神谷氏は「働け、とやり過ぎた」と述べていますが、女性の社会進出は依然として重要な課題であり、男女が自らの意思に基づきあらゆる社会活動に自由に参加できる「男女共同参画社会」の理念そのものを「間違い」だと断じる姿勢に対し、X上では以下のような疑問の声も一部で寄せられています。
- 子育て世帯への支援の拡大を主張するならそう言えばいい。「男女共同参画は間違いだった」などという必要がどこにある?
- 少子化が進んでいるのは、男女共同参画のせいではなくて、その男女共同参画が進んでいないから
本誌は7月4日昼、参政党に対し、「男女共同参画は間違いだった」という主張は党全体としての認識なのか、また発言を撤回する予定はあるのかなどを問い合わせました。しかし、回答期日までに連絡はなく、その後も何度か問い合わせましたが、現時点では回答を得られていません。参院選の選挙戦が進む中、神谷代表のこの発言と、それに対する党の公式見解が示されるのかどうかが注目されます。
参考資料:
https://news.yahoo.co.jp/articles/5cf70f162f7e26b0ca3efae708b3e84a7f5ce1b4