防衛省は、空と海上、海中で無人機を活用する沿岸防衛構想「SHIELD(シールド)」を2027年度中に構築する方針を固めた。無人機は安価で大量に導入できる利点があり、日本に侵攻しようとする他国部隊を食い止める狙いがある。
複数の政府関係者が明らかにした。シールド構想では、日本の艦艇から発射するタイプの無人航空機や、水上用の無人水上艦、水中を進む無人潜水機で敵艦を迎え撃つ。
陸側からは、沿岸に迫ってきた敵艦に小型の無人機を発射するなどして攻撃し、費用対効果の高い防衛態勢を構築する。
また、大量の無人機の運用を同時に管理するための管制システムの導入に向けた実験も始める考えだ。
同省は4月、無人機活用を含む将来の戦闘方法を検討するチームを設置し、標的への攻撃や偵察などのあり方を検討してきた。ロシアとウクライナの戦闘で大量の無人機が投入されたことを踏まえ、多層的な防衛態勢の整備が急務と判断した。
同省はシールド構想とは別に、英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機を随伴して支援する人工知能(AI)搭載無人機の研究も進める。洋上監視用の滞空型無人機として、米国製の「MQ9B シーガーディアン」を取得する。
同省はシールド構想に必要な費用などについて来年度概算要求に盛り込む方針だ。