藤島ジュリー景子氏、旧ジャニーズの内幕と性加害問題の「真実」初告白へ

かつて芸能界に君臨したアイドル帝国、旧ジャニーズ事務所。その歴史の中で、SMAPや嵐は国民的アイドルとして一時代を築きました。これらのグループと対照的な距離で見守ってきた藤島ジュリー景子氏が、自身の「覚悟の告白本」をまもなく発売します。話題沸騰中の新刊の全容に迫るべく、関係者への取材を基にその内容と執筆の背景を紐解きます。

芸能史上最悪とも言われるジャニー喜多川氏の性加害問題に、姪として、そして元社長として向き合い、被害者への補償に専念してきた藤島ジュリー景子氏(58才)。現在も厳しい批判に晒される彼女が、初めてその胸の内を明かした著書『ラストインタビュー 藤島ジュリー景子との47時間』(新潮社)が、7月18日に出版される予定です。これまでメディアの取材に一切応じなかったジュリー氏が、自らの意思でこのインタビューを受けた背景には、事実に反する報道や根拠のない誹謗中傷への強い反発があったと言われています。「長い間、世間の誤解を放置したことで、家族やタレントに迷惑をかけてしまった。芸能界を離れた今だからこそ、自分が知り得る事実をきちんと形に残しておきたい」。告白本には、そんな切実な思いが込められているようです。

告白本執筆の背景と動機

著書に収録されたインタビューは、昨年6月から複数回にわたって合計47時間にも及んで行われました。その中で、ジュリー氏は叔父であるジャニー氏との関係性、母メリー喜多川氏との間の確執といった、これまでのベールに包まれてきた事務所の内情について語っています。さらに、嵐、SMAP、Snow Manといった元所属タレントたちの知られざる素顔についても言及しているとされます。

2023年5月、一連の性加害問題に関して旧ジャニーズ事務所が行った謝罪会見に臨んだジュリー氏は、性加害の事実を認めた上で叔父の行為を断罪し、姪として最後まで責任を取ることを誓いました。パニック障害の症状に耐えながら批判の矢面に立った彼女は、涙ながらに被害者に寄り添い、法を超えた補償対応を継続することを表明しました。その会見で印象的だったのは、「全員が性被害に遭ったわけではなく、実力で今の地位を築いたタレントもいる」と述べたことです。これは、現在も活動を続けるタレントたちの名誉を守るため、ファンにどうしても伝えておきたかった言葉だといいます。

旧ジャニーズ事務所の元所属タレントであるKing & Princeのメンバー(6年前)と、Snow Manの目黒蓮、ラウールら(4年前)。告白本で言及される可能性のあるグループの写真旧ジャニーズ事務所の元所属タレントであるKing & Princeのメンバー(6年前)と、Snow Manの目黒蓮、ラウールら(4年前)。告白本で言及される可能性のあるグループの写真

暴露される旧体制の歪みとタレントへの複雑な思い

最初で最後とされるこの「告白本」で、ジュリー氏は一体何を伝えようとしているのでしょうか。複数の関係者への取材から浮かび上がってきたのは、長年隠されてきたアイドル帝国の「歪んだ内情」と、元所属タレントたちへの「複雑な思い」です。ここからは、告白本の内容に触れながら、ジュリー氏が明らかにしようとしている真実をさらに深掘りしていきます。

前述のジュリー氏の知人によると、インタビューを行った作家の早見和真氏は、告白本を文藝春秋社から刊行することを提案したといいます。しかし、ジュリー氏はこの申し出を頑なに拒否し、ライバル社の新潮社を指名しました。その背景にあったのは、『週刊文春』によるKing & Princeに関する報道への強い怒りだったとされています。

週刊文春報道への反発とKing & Prince問題

2023年5月に現Number_iの平野紫耀氏、岸優太氏、神宮寺勇太氏が脱退・退所し、現在は永瀬廉氏と高橋海人氏の2人で活動を続けるKing & Prince。この「分裂」の要因として、『週刊文春』(2022年11月17日号)が報じたのは、平野氏らが抱いていたジュリー体制への不信感でした。「キンプリ 滝沢秀明を壊したジュリー社長の“冷血支配”」という見出しのもと、彼らの意見を聞き入れないジュリー氏に反発するタレントの姿が詳細に記されていました。

しかし、この記事の内容にはジュリー氏の記憶と異なる部分が多く含まれており、彼女と旧ジャニーズ事務所は発行元の文藝春秋社を相手取り、名誉毀損で1億円超の損害賠償を求める裁判を起こしています。その後、ジャニー氏の性加害問題が表面化し、周囲の説得もあって訴訟は取り下げられましたが、ジュリー氏の怒りは収まることがなかったといいます。

2019年9月に旧ジャニーズ事務所の2代目社長に就任して以降、ジュリー氏は経営者とタレントが同じ目線で話し合える風通しの良い環境づくりを目指していました。ジャニー氏の管轄下にあり、それまでほとんど接点のなかったKing & Princeのメンバーを食事に誘い、相談に乗ることもあったとされています。それにもかかわらず、記事では冷酷無比な社長のように書かれたことに、彼女はひどく憤慨したのです。

告白本では、ジャニー氏の性加害という根源的な問題に加え、旧体制の病巣、そしてそれを巡るメディアとの確執、特にKing & Princeに関する報道への反論が、ジュリー氏自身の言葉で綴られていると考えられます。これは、彼女にとって自身の名誉回復と、残されたタレントたちへの配慮を示す最後の機会なのかもしれません。出版により、旧ジャニーズ事務所に関する新たな議論が巻き起こることは必至です。