参院選の物価高対策給付金巡り、国民民主・玉木氏が石破首相に「ギリシャより悪かった?」と怒り

国民民主党の玉木雄一郎代表は11日、東京都内での街頭演説において、参院選(20日投開票)の公約に盛り込まれた物価高対策としての国民への給付金を巡る石破茂首相の発言に対し、強い調子で疑問を呈しました。石破首相が給付金が1回限りではない可能性を示唆したことに対し、玉木氏は「日本の財政状況は、ギリシャより悪かったんじゃないの?」と怒気を込めて問いかけました。

与党が参院選公約に掲げる物価高対策は、国民1人あたり一律2万円の給付に加え、住民税非課税世帯の大人および子どもに追加で2万円を給付するというものです。この給付金について、石破首相は10日のBSフジ「プライムニュース」に出演した際、「(給付を)いつまで続けるかは申し上げない」と述べ、今回の給付が一度きりではない可能性を示唆する認識を示しました。この発言はSNSなどで「バラマキ」との批判を再び招く事態となりました。

石破首相は11日、山形市での街頭演説でも改めて給付金の意図を説明。「物価上昇が賃金上昇を上回る時期があり、その間、困っている人に重点的に手当てするのが給付金だ」と述べ、給付が1回にとどまらない可能性を重ねて示唆しました。

玉木氏、「税収上振れを戻す財政状況にない」主張との矛盾を指摘

玉木氏は街頭演説で、政府の財政状況に関する従来の主張と今回の給付金決定の矛盾点を突きました。「歳出と歳入をもう少し見直せば、みなさんにお戻しできるお金はきちんとつくれる。我々は税収の上振れ分を国民のみなさんにお戻ししようと、岸田総理にも石破総理にも言ってきたが、必ず返ってくる答えが『税収の上振れを国民のみなさんにお戻しするような財政状況にはない』『日本の財政状況はギリシャより悪い』ということ」だったと述べました。

さらに玉木氏は、石破首相との過去のやり取りを引用し、その矛盾を強調しました。「(6月の)私との党首討論で(石破首相は)同じことを言って、その2日後に税収の上振れを使って国民のみなさんに全員2万円を配ると言ったんですよ。おかしくないですか? これ」と強く指摘しました。

国民民主党の玉木雄一郎代表による参院選東京選挙区での街頭演説の様子。物価高対策としての給付金について石破首相を批判した。国民民主党の玉木雄一郎代表による参院選東京選挙区での街頭演説の様子。物価高対策としての給付金について石破首相を批判した。

「勝手すぎませんか?」重ねての給付示唆に怒り

その上で、石破首相の10日の「1回だけに限らない可能性」発言に言及。「しかも昨日、1回じゃなくて、もう1回配るかもしれないって。ギリシャより悪かったんじゃないの? 税収の上振れを配る余裕ないって、言っていたんじゃないの?」と、石破首相の発言に重ねて怒りのツッコミを入れ、「勝手すぎませんか? みなさん」と聴衆に呼びかけ、政府の姿勢を厳しく批判しました。

給付金の「上から目線」批判と減税の主張

玉木氏は、一律2万円の給付という手法そのものについても批判を展開しました。「『みなさん困っていますよね、じゃあ2万円をくれてやろう』という上から目線」だとし、その財源が国民の税金であると訴えました。「そのお金って、だれのお金ですか? 石破さんのお金でも自民党のお金でも公明党さんのお金でもない。汗水流して働いて、そこから払っていただいている納税者のみなさんのものじゃないですか?」と述べ、給付金が taxpayers’ money であることを強調しました。

そして、国民民主党の主張を改めて表明。「税収の上振れがあるなら(税金を)取って配るのではなく、最初から取らない。みなさんの懐に残す減税で、お戻しするのが筋だ」と述べ、税収を給付金として再分配するのではなく、減税によって最初から国民の手元に残すべきだという党の政策を訴えました。

この日の玉木氏の街頭演説は、参院選を前に、物価高対策を巡る政府・与党と野党との間の政策論争が激化している現状を示すものとなりました。