鹿児島県の桜島を定点観測する気象庁のカメラが19日深夜、強い光を捉えた。周辺では空気の振動(空振)や音も観測された。鹿児島地方気象台は一時、桜島の爆発的噴火を疑い解析を進めたが、不自然な点が多く無関係と判断。流星の一種である火球の可能性を疑っている。
【動画】西日本各地で観測された、火球とみられる光=九州朝日放送提供、YouTubeチャンネル「朝日新聞Live」から
気象台の観測の担当者によると、19日午後11時8分ごろ、桜島を観測する七つのカメラ映像が真っ白になった。その間、1秒ほど。「あまりに強い光がカメラに向けられ、何も見えない状態になった」という。
その8分後の午後11時16分ごろ、桜島の南東に設置された空振計が12.5パスカルの空振を捉え、地震計も揺れを観測した。
湾を挟み桜島の西にある気象台で職員が窓を開けたところ「ドーン」という音も聞いたという。
気象台は、10パスカルを超える空振や音から桜島の爆発的噴火の可能性を考えたという。だが噴煙が確認されなかった。地震計の揺れも爆発的噴火に特徴的な波形ではなかった。このため「光や空振は桜島の爆発ではない」と判断した。
気象台にはその後、「衝撃音を聞いた」「桜島と関係あるか」という住民からの問い合わせが続いた。SNS上で「火球か隕石(いんせき)では」といった投稿も相次いだ。
担当者は「断定はできないが、時系列的にみて、光と空振の原因が火球である可能性はある」と話す。
朝日新聞社