【カイロ=西田道成】シリア南部スウェイダ県での宗派間の衝突を巡り、イスラム教シーア派傍系ドルーズ派の保護を名目に軍事介入を行ったイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は17日の声明で、シリア暫定政権の治安部隊が首都ダマスカスから南の地域に展開するのを「許さない」と主張し、シリア南部の非武装化を目指す方針を表明した。
ネタニヤフ氏は、自国の軍事介入で「停戦が成立した」と主張し、更なる軍事介入も辞さない構えを示した。シリア国営通信によると、イスラエル軍は17日も同県を空爆した。
ロイター通信は18日、同県で17日夜にドルーズ派とイスラム教スンニ派のベドウィン(遊牧民)の衝突が再燃したと伝えた。在英のシリア人権監視団によると、衝突の死者が17日だけで280人以上に上った。
暫定政権は16日に停戦合意を発表し、治安部隊を同県から撤退させたが、ドルーズ派の一部指導者が戦闘継続の姿勢を示していた。宗派間衝突が再び激化すればイスラエルが介入を強めるのは必至で、混乱が一層拡大する可能性がある。