国民執行部、若手沈静化に躍起 立民は協議呼びかけも





左から、平野博文氏、津村啓介氏

 国民民主党の津村啓介副代表ら中堅・若手議員は5日、平野博文幹事長と面会し、立憲民主党との合流に向けた交渉を年内に開始するよう改めて申し入れた。国民の支持率は1%前後と低迷が続き、「このままでは次期衆院選を戦えない」との危機感が、若手らを執行部の突き上げに駆り立てている。立民も近く合流協議を国民などに呼びかける動きを見せているが、障害が多く、早期実現は見通しにくい。しびれを切らして離党者も出かねず、国民執行部は沈静化に躍起だ。

 党本部での面会には津村氏のほか、奥野総一郎国対委員長代行ら計17人が集まった。所用で欠席の3人を加えると「早期合流派」は計20人となり、同党衆院議員38人の過半数に達する。

 「玉木雄一郎代表は1月の党大会で『自民党に代わる選択肢を作る』とおっしゃった。年を越す前に協議開始という具体的な行動を起こしていただきたい」

 面会で津村氏はそう求め、他の議員も「野党全体で数を増やすことが大事だ」などと口々に訴えた。平野氏は全員の意見に耳を傾け「しっかり玉木代表に伝える」と応じたという。

 しかし、合流には障害が多い。参院では両党の幹部同士が反目し、和解の機運は見られない。原発や憲法論議へのスタンスなど基本政策も不一致だ。国民幹部は「都道府県連にもそれぞれ温度差がある。国会議員だけで決められない」と漏らす。

 国民の早期合流派が自身の選挙事情もあって焦りを募らせる一方、立民側はその切迫した議員心理を見透かし、さらに揺さぶりをかけている。

 「来る者は拒まない。こっちに来た議員は最後まで守ってやるつもりだ」。立民の枝野幸男代表は周囲にそう語り、国民からの離党者も歓迎する意向をにおわせる。合流協議をちらつかせるのも、早期離党を促す戦略の一環とみられる。早期合流派は「われわれは党を割るつもりはない」(中堅)と否定するが、これまでも国民を抜けて立民側に走った議員は少なくない。

 早期合流派の9割は比例代表での復活当選組。国会法の規定で、仮に国民を離れても、すぐには立民に入党できず無所属となる。次期衆院選で立民の公認を得ても、比例代表の順位などで冷遇されるという観測も強い。国民幹部の一人はその可能性を指摘し、今回の動きを牽制(けんせい)する。

 「こちらから『出て行きたいならどうぞご自由に』と言ってやったら、彼らはどうするつもりなのか」

(千葉倫之)



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