【北京=吉永亜希子】中国でスパイ罪で起訴され、実刑判決を受けたアステラス製薬社員の日本人男性(60歳代)について、中国の裁判所が、日本の情報機関への中国に関する情報提供がスパイ活動に当たると認定していたことが19日、わかった。日中関係筋が明らかにした。
具体的にどのような情報を提供したのかは不明だ。北京市第2中級人民法院(地裁)は今月16日、男性について、懲役3年6月の実刑判決を言い渡していた。
中国の裁判所は、過去にスパイ罪で邦人に実刑判決を下す根拠として日本の公安調査庁との関わりを問題視したことがある。今回も同庁など日本の政府機関との関わりがスパイ活動に認定された可能性がある。
判決に対する上訴期限は今月28日までだが、関係筋によると、男性は現時点では上訴しない意向を示しているという。判決が確定した場合、中国の刑事訴訟法によると、未決勾留日数として少なくとも2年分が算入される見通しで、残る刑期は1年半程度とみられる。
金杉憲治・駐中国大使が判決後に領事面会した際、男性は上訴するかどうかについて、「弁護士と相談する」と述べていた。