米国防総省は18日、コンピューターシステム管理に中国人技術者が関与していた問題で、全省的な調査を開始すると発表しました。ヘグセス国防長官は、国防総省クラウドサービスで「安価な中国人労働者」が使われたことを「容認できない」と強く非難。国家安全保障上の懸念を表明しています。
「容認できない」と表明したヘグセス国防長官
ヘグセス国防長官は、一部企業が国防総省のクラウドサービスをサポートする際に「中国の安価な労働者」を利用していたと明らかにしました。これを「明らかに容認できない」とし、他の同様の事例がないか最長2週間かけて省全体で調査すると発表。これは、国家安全保障に関わる重大な問題と捉えられています。
中国人技術者関与問題について声明を発表するヘグセス米国防長官
マイクロソフト「デジタルエスコート」の仕組みと報道
これに先立ち、米調査報道ニュースサイト「プロパブリカ」は15日、IT大手マイクロソフトが中国人技術者を国防総省のシステム管理に関与させていたと報じました。マイクロソフトは国防総省にクラウドサービスを提供しており、規定では機密性の高いデータへのアクセスは許可を得た米国市民に限定されます。同社は、この要件を満たす「デジタルエスコート」を雇用し、実際のサポート業務は中国などの技術者が行い、エスコートが「監督」する仕組みを取っていました。
プロパブリカが指摘する専門知識とセキュリティ懸念
しかし、プロパブリカは、多くの「デジタルエスコート」が専門的な知識で技術者よりも劣り、データをハッキングするような悪意あるプログラムを見抜けない可能性があると指摘。これにより、機密情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが高まる懸念が浮上しています。
マイクロソフトの運用見直し
マイクロソフト側は、約10年前に導入した「デジタルエスコート」の仕組みについて、政府に説明し承認を得ていたと主張しています。しかし、今回の報道などを受け、18日には中国人技術チームが国防総省のシステムサポートに関与しないよう、運用を全面的に見直したと発表しました。
今回の調査は、米国の国家安全保障における外部委託の潜在リスクを浮き彫りにしました。機密情報保護とサイバーセキュリティ強化が喫緊の課題であり、より透明性の高い運用が求められます。
出典: Yahoo!ニュース (https://news.yahoo.co.jp/articles/8a34d2ee51ff5a0bad5ca812b5b8044ef5298b00)