芦屋“人違い襲撃”事件、香港テレビで「本当の標的」証言:依頼殺人の真相が浮上

去る1月16日午前、兵庫県芦屋市のニュータウンで発生した35歳男性への強盗殺人未遂事件は、「人違い」によるものとして報じられていました。しかし、事件から半年が経過した7月15日、香港のテレビ番組に自らを“本当の標的”と称する男性が出演し、この事件が「依頼殺人」であったと証言、新たな波紋を広げています。当初の報道とは異なる衝撃の事実が明らかになりつつあります。

芦屋事件の経緯と「人違い」報道の背景

この強盗殺人未遂事件では、被害男性が鈍器で殴られ、腹部を刺された上にスマートフォンなどを奪われています。事件発生当日、関西国際空港でマレーシア国籍の男2人(ともに58歳)が強殺未遂容疑で逮捕されました。彼らは「襲撃の依頼を受けて来日した」「被害者とは面識がない」と供述。日本のメディアは、捜査関係者の話として「人違いでの襲撃」「被害者は車の清掃を依頼されて現場を訪れただけ」といった内容を報じ、事件の背景に「人違い」の可能性を強く示唆していました。

襲撃の指示役と目されたのは、現場近くに住む中国籍の男(28歳)です。1月30日に同容疑で逮捕されたこの男は黙秘を続けましたが、2月20日には知人である会社役員(53歳)に対する名誉毀損容疑で再逮捕されました。しかし、兵庫県警は、この名誉毀損容疑と強盗殺人未遂事件との関連についてコメントを控えました。その後、中国籍の男が3月に強盗殺人未遂で不起訴となり、不法上陸容疑で起訴されてからは、事件に関する報道は途絶えていました。この時点では、依然として事件が「人違いの襲撃」であった可能性は否定できない状況でした。

芦屋市で発生した強盗殺人未遂事件の現場を捜査する兵庫県警の捜査員芦屋市で発生した強盗殺人未遂事件の現場を捜査する兵庫県警の捜査員

香港TVB番組「東張西望」が明かした「本当の標的」の証言

事件の新たな展開は、香港の人気テレビ番組「東張西望(Dong Zhang Xi Wang)」によってもたらされました。この番組は、市井の出来事を深掘りする30分番組で、毎晩放送され、視聴者からの投書を元にしたトラブル取材が特徴です。7月15日に放送された第196回で、芦屋事件の“本当の標的”を自称する男性が初めて出演しました。

この男性は、数年前に日本へ移住した香港人「サム」氏(番組中の仮名)です。番組は事件発生翌日の1月17日早朝、「誰が自分を殺そうとしたのか知っている」とするサム氏からの投書をウェブ経由で受け取り、レポーターを日本へ派遣していました。

サム氏が首謀者と目しているのは、香港で知り合った同じく香港人男性のB氏です。サム氏によると、2020年に自身が日本に移住した後、B氏から頻繁に連絡が来るようになったといいます。その2年後、サム氏は日本で設立した自身の会社でB氏を雇用しました。しかし、B氏が香港で詐欺を働いていた事実が発覚したため、サム氏はB氏を解雇し、さらに入国管理局に通報しました。この通報により、B氏のビザは停止されたとのことです。サム氏のこの証言は、今回の襲撃が単なる「人違い」ではなく、B氏による報復としての「依頼殺人」であった可能性を強く示唆しており、事件の真相解明に新たな視点を提供しています。

参考資料