旧統一教会・韓鶴子総裁の斡旋収賄容疑で家宅捜索、信者たちは聖地で激しく抗議

尹錫悦前大統領夫人のキム・ゴンヒ氏に関する疑惑を捜査する特別検察チームが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の本山を家宅捜索しました。この捜索は、易占術師「コンジン法師」ことチョン・ソンベ氏によるキム氏への請託疑惑などに関連するもので、特に旧統一教会の韓鶴子総裁も容疑者として明示されていることが注目されています。18日、京畿道加平郡にある旧統一教会の「聖地」とされる天正宮やソウル龍山区の韓国本部が捜索を受けた際、現地では信者たちが激しく反発し、その様子は複数のメディアによって報じられました。

信者たちの激しい抵抗と信仰

この日、天正宮の正門前では、約100人もの旧統一教会信者が集結し、特検チームの家宅捜索に抗議する礼拝を行いました。白いTシャツと黒いズボンを身につけた信者たちは、「特検から韓鶴子総裁を守ろう」と叫びながら、空に向かって両手を広げて賛美歌を歌い、あるいは両手を握りしめ全身を震わせて祈りの言葉を唱えました。中には、ひざまずいて地面に突っ伏し、嗚咽(おえつ)する者もおり、その信仰心の深さと抗議の強さが浮き彫りになりました。

特別検察チームの家宅捜索に抗議し、祈りを捧げる旧統一教会信者たちの様子特別検察チームの家宅捜索に抗議し、祈りを捧げる旧統一教会信者たちの様子

信者たちが着用していたTシャツには、韓総裁を指すと思われる「ホーリーマザー・ハン」という文言が記されていました。旧統一教会の内部では、創始者である故・文鮮明氏はメシア(救世主)とされ、韓総裁は「神の一人娘」として認識されています。このため、プロテスタントの主流派からは異端とみなされていますが、信者たちは激しい雨の中でもひるむことなく、抗議と信仰の表明を続けました。

韓鶴子総裁への家宅捜索に激しく反発し、嗚咽する旧統一教会信者韓鶴子総裁への家宅捜索に激しく反発し、嗚咽する旧統一教会信者

韓鶴子総裁への容疑と特別検察チームの捜査

今回の家宅捜索令状には、韓鶴子総裁がチョン・ソンベ氏と共に特定犯罪加重処罰法上の斡旋収賄や請託禁止法違反などの容疑者として明記されています。特別検察チームは、チョン氏が2022年に旧統一教会のY前世界本部長から、カンボジア・メコン川の開発事業支援、大統領就任式への招待、YTN買収など、複数の懸案について請託を受けたと見ています。その見返りとして、チョン氏は6千万ウォン台のダイヤモンドのネックレスやシャネルのバッグなどを受け取り、これらをキム氏に渡したとされています。

「ホーリーマザー・ハンを守ろう」と書かれたTシャツを着用し、抗議する旧統一教会信者グループ「ホーリーマザー・ハンを守ろう」と書かれたTシャツを着用し、抗議する旧統一教会信者グループ

さらに特検チームは、旧統一教会と尹錫悦前大統領の核心となる関係者、いわゆる「尹核関」との関係についても詳しく調査を進めています。Y前本部長とチョン氏が2022年11月の「国民の力」党大会前に、「尹大統領の意向は変わることなくクォン(・ソンドン)」というショートメッセージをやり取りしていたことが確認されています。加えて、Y前本部長が尹前大統領の側近の助けを得て、旧統一教会幹部の遠征賭博疑惑事件をもみ消したとされる疑惑についても、現在捜査が進行中です。

この一連の家宅捜索と捜査は、韓国政界と特定の宗教団体との関係に新たな波紋を広げ、今後の進展が注目されます。