米国と日本は22日に貿易協定を締結し、その一環として日本が米ボーイング社製航空機100機を購入し、米国産コメの輸入量を75%増加させることで合意した。米ホワイトハウス当局者が23日に明らかにした。この画期的な合意は、両国の経済関係をさらに深めるものと期待されている。
トランプ大統領が「史上初の市場開放」を強調
ドナルド・トランプ米大統領は23日、自身の交流サイト「トゥルース・ソーシャル」に投稿し、今回の日本との貿易協定について「日本が史上初めて米国に市場を開放した」と述べ、その歴史的意義を強調した。また、大統領は「日本が数十億ドル相当の軍事装備などを購入することに同意した」とも言及し、貿易だけでなく防衛面での協力強化にも触れた。
貿易協定の詳細と防衛費増額
ホワイトハウス当局者によると、日本はボーイング機100機の購入と米国産コメの輸入量75%増のほか、農産物など80億ドル相当を米国から購入する。さらに、在日米軍駐留経費などを含む防衛費については、これまでの年間140億ドルから170億ドルへと増額することでも合意に至った。この増額は、両国の安全保障協力が一段と強化されることを示唆している。
日米貿易協定締結後の会見に臨むトランプ米大統領
自動車関税の引き下げと今後の交渉
今回の貿易協定では、日本の対米輸出の4分の1以上を占める自動車部門への関税が、従来の27.5%から15%に引き下げられることが決定した。トランプ大統領は、この市場開放が自動車やSUV(スポーツ多目的車)、トラック、そして全ての製品、さらにはこれまで「ノー」とされてきた農産物やコメにも適用されることを指摘し、「日本の市場開放は関税と同じくらい大きな利益をもたらす可能性があるが、これは関税の力のみによって得られた成果だ」と述べた。
一方、米ホワイトハウス当局者は、医薬品や半導体への関税率については別途交渉する意向を示しつつも、他の貿易相手国より不利になることはないとの見方を示した。スティーブン・ベセント米財務長官はブルームバーグTVのインタビューで、自動車関税が15%に引き下げられた背景には、日本が「革新的な資金調達メカニズムを提供する意思があったからだ」と語り、これは他国が容易に真似できるものではないとの見解を示した。
結論
今回の米日貿易協定は、日本が米国に対して市場を大きく開放し、ボーイング機購入や米産米輸入増、そして防衛費の増額など、多岐にわたる分野で合意に至ったことを示している。特に自動車関税の引き下げは、日本の主要産業に大きな影響を与える可能性がある。トランプ大統領が「史上初の市場開放」と称するように、この協定は両国の経済・防衛関係において新たな節目となるだろう。