北朝鮮は、日本が英国・イタリアと共同で次世代戦闘機開発を進めていることに対し、「戦争同盟復元を夢見る戦犯国」であると強く非難しました。この動きは、日本の軍事大国化への動きと地域の安全保障環境に深い懸念を投げかけています。日本、英国、イタリアは2022年12月に次世代戦闘機の共同開発に合意し、2035年までの配備を目指しています。
次世代戦闘機開発への非難
朝鮮中央通信は21日、「過去の戦争同盟復元を夢見るアジアの戦犯国」と題した論評を通じて、日本の「軍国主義熱」が高まり、「外国勢力と結託して再侵略の刃を研ぎ直す」策動が加速していると主張しました。同通信は、日本が「世界最大の戦争同盟、史上最悪の対決集団に変わった北大西洋条約機構(NATO)の構成国」である英国・イタリアとの軍事的結託を強化していることは、最近よく見られる動きだと指摘しています。
北朝鮮は、日本が推進する次世代戦闘機開発事業について、「単純に武装装備の現代化に目的があるのではなく、今後の侵略戦争遂行に有利な環境を形成するための軍事ブロック拡大策動」であると断定しました。そして、「日本が時代の流れを直視せず『東洋盟主』野望に浮き立ち、旧時代の国々との軍事的協力に突き進めば、迎えるのは自滅の運命だけ」と強い警告を発しています。
北朝鮮の金正恩国務委員長が核物質生産基地と核兵器研究所を現地指導する様子。日本との次世代戦闘機開発や防衛白書を巡る対立の背景にある北朝鮮の軍事動向を示す。
「2025年防衛白書」への言及と反論
これに先立ち18日には、朝鮮中央通信が日本の「2025年防衛白書」についても言及しました。外務省日本研究所政策室長の談話を引用し、この防衛白書を「再侵略野望実現のための戦争脚本」であると指摘しています。
政策室長は談話で、「日本が遠距離打撃能力、領域横断作戦能力など侵略戦争遂行能力の構築に血眼になっている」と述べ、これは「崩壊直後から戦略的目標として掲げ、執拗に長期的に追求してきた軍事政策方向」だと強く非難しました。
さらに、日本が「防衛白書」で北朝鮮・中国・ロシアの軍事力強化措置を「差し迫った脅威」と評価したことに対し、北朝鮮は「列島全域を米国の覇権志向的なインド太平洋戦略実現のための軍事前哨基地、兵たん基地として譲り渡し、地域情勢を階段式で激化させている」と主張しました。そして、「脅威の実体を隠して無分別な軍事大国化策動を合理化しようという破廉恥な詭弁」であると、朝鮮中央通信は報じています。
結論
北朝鮮の一連の論評は、日本の防衛政策、特に次世代戦闘機開発や「防衛白書」の内容を巡る強い警戒感と敵対的な見方を示しています。日本を「戦犯国」とし、その軍事動向を「侵略戦争遂行」や「軍事ブロック拡大策動」の一環と位置づけることで、地域の軍事的緊張を高める要因となる可能性を強調しています。この非難は、東アジアにおける安全保障問題の複雑さと、各国間の認識の隔たりを浮き彫りにしています。