煉獄杏寿郎の「心を燃やせ」:無限列車での壮絶な死闘が今も輝く理由

[煉獄杏寿郎の「心を燃やせ」:無限列車での壮絶な死闘が今も輝く理由鬼滅の刃 無限列車編 Blu-ray&DVDパッケージに描かれた炎柱・煉獄杏寿郎の勇姿。彼の壮絶な戦いを象徴するビジュアル。]

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の公開が始まり、SNS上では作品への感動や興奮の声が続々と寄せられています。特に、物語の核心を成す「上弦の参」である猗窩座と、竈門炭治郎、冨岡義勇が対峙する激しい戦闘シーンは「見どころしかない!」と絶賛され、観る者を圧倒する演出が連続しています。この新たな戦いが白熱すればするほど、多くのファンの心に蘇るのは、かつて炎柱として鬼殺隊を率いた煉獄杏寿郎の存在です。2020年10月に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』での彼の活躍を振り返ると、私たちは想像をはるかに超える偉業を成し遂げていたのではないかと、改めて感じずにはいられません。

魘夢との攻防:200人もの乗客を守り抜いた炎柱の献身

無限列車に乗り込んだ煉獄杏寿郎は、炭治郎たちと共に、鬼舞辻無惨によって強化された下弦の壱・魘夢の幻術に囚われます。しかし、煉獄は素早く幻術の突破口を見つけ、炭治郎に魘夢撃破を託した後、自らは列車内に取り残された一般乗客たちを魘夢の魔の手から守り続けました。乗客たちが深く眠りにつく中、鬼の攻撃から彼らを守り抜くという困難な任務を、煉獄は単独で遂行しました。

さらに、炭治郎が魘夢の頸を斬り、列車が大きく脱線・横転した際も、煉獄は「炎の呼吸」を駆使した数々の技を繰り出すことで、乗客たちの被害を最小限に抑えることに成功しました。この一連の出来事により、約200名にも及ぶ乗客たちは、誰一人として命を落とすことなく守り抜かれたのです。煉獄の献身的な行動は、柱としての責任感と、人々を守るという彼の強い信念の現れでした。

上弦の参・猗窩座との“数時間”の死闘:常識を覆す煉獄の強さ

魘夢との戦闘が一段落し、安堵したのも束の間、炭治郎と煉獄の前に突如として因縁の相手である猗窩座が現れます。当時の炭治郎では全く太刀打ちできなかった圧倒的な強さを誇る猗窩座に対し、煉獄は一歩も引くことなく、たった一人で戦い続けました。猗窩座が姿を現した時点では、夜明けまではまだ十分に時間的な余裕があったはずです。

事実、煉獄は夜明けまで猗窩座との壮絶な死闘を繰り広げ、あと一歩で猗窩座の頸を切り落とせる寸前まで追い詰めました。これは、煉獄が少なくとも1時間、あるいはそれ以上の時間を上弦の鬼と互角に渡り合ったことを意味します。「無限列車編」の段階では、鬼殺隊の戦力強化の秘訣である「痣」に関する描写はまだありませんでした。煉獄は、この「痣」を発現させることなく、絶望的な戦力差である「上弦の鬼は少なくとも柱3人分の力を持つ」という常識に抗い、猗窩座を相手に「誰ひとりとして死なせない」という目的を達成しました。彼のこの功績は、単なる強さを超えた、人間離れした覚悟と信念の証であると言えるでしょう。

「心を燃やせ」:煉獄杏寿郎が残した不朽の信念と影響

煉獄杏寿郎が命を犠牲にしてまで貫いた「誰ひとりとして死なせない」という誇り高き信念と、その生き様は、今も多くの人々の心に深く刻まれています。彼の魂の叫びである「心を燃やせ」という言葉は、炭治郎の胸に深く響き、猗窩座との再戦、そしてその後の彼の成長における大きな原動力となりました。

煉獄の壮絶な戦いと、その後に残された彼の意志は、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』の物語にも脈々と受け継がれています。彼の犠牲があったからこそ、炭治郎たちは次の段階へと進むことができ、鬼殺隊全体の士気を高めることにも繋がりました。煉獄杏寿郎という存在が、単なる一人の柱ではなく、多くの人々の心に火を灯し、未来を照らす希望となったのです。

煉獄の献身と強さ、そして不屈の精神を再認識すると、この一連のドラマを改めて劇場で、あるいはBlu-ray/DVDで追体験したくなることでしょう。彼の「心を燃やせ」という言葉は、私たち自身の困難に立ち向かう勇気を与え続けています。


©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable