モチベーション維持の鍵は「進捗の自己監視」!目標達成を加速させる2つの思考法とは?

勉強、仕事、筋トレなど、日々の目標に向かって「やる気はあるのに、ついつい先延ばしにしてしまう」。この誰もが抱える共通の悩みに対し、心理学の視点から具体的な解決策を提示するのが、筑波大学人間系教授でモチベーション研究の専門家である外山美樹氏の新刊『すぐやる人の頭の中──心理学で先延ばしをなくす』です。本記事では、同書より一部を抜粋し、モチベーションを効果的に高め、目標達成へと導くための「進捗の捉え方」に焦点を当てて解説します。

モチベーション持続の要:「進捗の自己監視」

どんなに大きな目標であっても、それを達成し、モチベーションを維持し続けるために不可欠な要素があります。それは、「自分がどれだけ進歩したか」を継続的にモニタリング(自己監視)することです。目標への道筋が不透明なままでは、ゴールにたどり着くことはできません。単にがむしゃらに努力するだけでなく、日々の進捗を確認し、現状を正確に把握することが極めて重要です。

自身のパフォーマンスがどの程度であるかを把握できなければ、行動の見直しを図ることも難しくなり、結果としてやる気を維持することも困難になります。これは、人間の脳の自然な働きからも明らかです。

脳は無意識に「現実」と「理想」の距離を測る

私たちの脳は、意識せずとも「現在の自分の状態」と「自分が望む理想の状態」を常に比較しています。この比較のおかげで、両者の間に隔たりがある場合、脳は自然と多様な反応を示します。例えば、そのギャップを埋めるべく注意を向けたり、関連情報を処理したり、あるいは努力を促したりといった行動です。

しかし、目標までの具体的な距離や、現在の自分と理想の自分との間のギャップが把握できていない場合、脳はその差を意識することができません。その結果、ギャップを埋めるための行動を起こすべきかどうかの判断ができなくなり、「やる気が出ない」「集中できない」といった状況に陥ってしまうのです。どれだけ今の自分と理想の自分が異なっているのか、その距離を正確に把握することが、何かを始めるための第一歩となります。

目標達成における2つの「進捗の捉え方」

目標追求のプロセスにおいて、進捗状況の捉え方はモチベーションに大きな影響を与えます。進捗を確認する方法には、大きく分けて2つの種類があります。

例えば、10キロマラソンで6キロ地点を通過したとします。この時、「これまで6キロ走った」と捉える見方もあれば、「これから、あと4キロ走らなければならない」と捉える見方もあります。また、5キロの減量を目指している人が2キロの減量に成功した場合も、「これまで2キロ痩せた」と考えるか、「これから、あと3キロ痩せなければいけない」と考えるか、という2つの捉え方ができます。このように、目標達成に向けた進捗の確認方法には、以下の2種類が存在します。

「これまで思考」と「これから思考」の概念図と違い。目標達成における進捗の捉え方を視覚的に示す。「これまで思考」と「これから思考」の概念図と違い。目標達成における進捗の捉え方を視覚的に示す。

①「これまで(to-date)思考」とは

一つ目は、目標の開始時点(スタート地点)を基準として、これまでに達成した進捗に焦点を当てる「これまで(to-date)思考」です。「これまで6キロ走った」や「これまで2キロ痩せた」といった表現が、この「これまで思考」に当たります。これは、達成済みの道のりに視点を向ける考え方です。

②「これから(to-go)思考」とは

もう一つは、目標の最終状態(ゴール地点)を基準として、これから生み出す必要がある進捗、つまり残りの道のりに焦点を当てる「これから(to-go)思考」です。「これから4キロ走らなければいけない」や「これから3キロ痩せなければいけない」といった表現が、この「これから思考」に当たります。これは、ゴールまでの残された距離に視点を向ける考え方です。

どちらに目を向けるとモチベーションが上がる?

「これまで思考」も「これから思考」も、現在の進捗を確認する上でどちらも重要であるように感じられます。しかし、ここで注目すべきは、どちらの視点に意識を向けるかによって、目標達成に対するモチベーションに大きな違いが生じる点です。

では、ここで皆さんに問いかけます。「これまで思考」と「これから思考」のどちらが、目標達成に向けたモチベーションをより高めると思いますか?現在取り組んでいる仕事や課題、資格取得のための勉強、ダイエットなど、ぜひご自身の目標に当てはめて具体的にイメージしながら考えてみてください。


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