大谷翔平選手がロサンゼルス・ドジャースへ移籍して以来、日本人ファン向けの観戦ツアーが飛躍的に増加し、多くの人々が海を渡り、彼の歴史的なプレーを現地で目に焼き付けています。「生の大谷選手を見たい、会いたい」という熱望は、日ごとに高まる一方です。この熱狂を肌で感じるべく、筆者も6月に観戦ツアーに参加しました。NPB時代の大谷選手は何度も見ており、春季キャンプで話した経験もありますが、MLB移籍後の彼を直接観戦するのは今回が初めて。ドジャースタジアムを訪れるのも、実に28年ぶりのことでした。
ドジャースタジアムの熱気と日本人ファンの存在感
ロサンゼルス市の北部に位置するドジャースタジアムは、広大な駐車場が球場を囲むように同心円状に広がっています。この駐車場には次々と大型バスが乗り入れ、大勢の観客を降ろしていました。ざっと見渡すと、その約半数は日本からのツアー客という印象です。特に目立つのは、背番号17のユニフォームを身につけた一団。彼らは道路いっぱいに広がり、颯爽と歩く姿は、まるで往年のテレビ時代劇『大江戸捜査網』のオープニングシーンを彷彿とさせ、その存在感は圧倒的でした。
ロサンゼルスのドジャースタジアムに大谷翔平選手を観戦するため押し寄せる日本人ファンの一団。
厳格な手荷物検査と円滑な入場のコツ
これらの観客が続々とドジャースタジアムの各ゲート前に列を作ります。MLBの手荷物検査は、日本のプロ野球(NPB)のような「形だけ」のものではなく、非常に厳格です。球場内に持ち込めるのは、幅30センチ程度の透明なバッグ一つのみ。大型レンズのカメラや、かさばる応援グッズなども持ち込みが許可されません。「係員の方には、自分からポーチを開けて見せるなど、積極的に検査に協力するとスムーズですよ!」と、現地ツアーガイドのJayさんはアドバイスしてくれました。彼女はシャキシャキとした言葉遣いで、ドジャースタジアムでの振る舞いや観戦マナーを丁寧に説明してくれます。観客はやや緊張した面持ちで、空港のような金属探知機をくぐり、ようやく球場内へと足を踏み入れます。
球場内の作法と歴史を巡るツアーの魅力
1962年に建設されたドジャースタジアムは、MLBでも有数のクラシックな球場であり、その場内の呼称やゲートナンバーにも独特のルールがあります。「ドジャースタジアムでは、一塁側が偶数ナンバー、三塁側が奇数です。これがサンディエゴのペトコパークでは逆になるので、特に注意してくださいね」と、Jayさんは細やかな情報を共有してくれます。さらに、彼女は球場内にあるフードショップやグッズショップの案内だけでなく、ドジャースやMLB全体の歴史を顕彰する施設についても、きっちりとツアー客を案内していたのが印象的でした。単なる野球観戦に留まらず、球団やリーグの豊かな歴史に触れることができるのは、ツアーならではの大きな魅力と言えるでしょう。
大谷選手観戦を超えた体験価値
今回のドジャースタジアム観戦ツアーは、大谷翔平選手の活躍を間近で見るという目的を超え、MLBの厳格なセキュリティ体制、歴史ある球場の独特なルール、そして何よりも日本人ファンコミュニティの熱気と連帯感を肌で感じる貴重な機会となりました。現地ツアーガイドのきめ細やかなサポートのおかげで、初めての訪問者でも安心して、そして深く野球文化に触れることができたのは大きな収穫です。これらのツアーは、単に試合を観るだけでなく、アメリカの野球文化、スタジアム体験、そして共に応援する日本人ファンとの一体感を味わう、忘れられない旅となることでしょう。