欧州連合(EU)の防衛担当欧州委員であるアンドリウス・クビリウス元リトアニア首相、および北大西洋条約機構(NATO)の欧州同盟国司令官を務める米空軍のアレクサス・グリンケウィッチ中将が最近、相次いで、中国による台湾侵攻作戦とロシアによる欧州侵攻作戦が2027年に同時発生する可能性について言及し、国際社会に強い警鐘を鳴らしています。これは、西側の防衛システムが限界まで試される事態となる潜在的な危機を示唆しています。
高まる地政学的緊張と同時作戦のリスク
米国のフォックスニュースが報じたところによると、クビリウス氏は7月21日の講演で、中国とロシアが協調して欧州とアジアで同時に攻撃的な行動を開始し、西側防衛システムが圧倒される可能性を指摘しました。同氏は、世界が「最も危険な瞬間」に直面する時期が2027年にも訪れる懸念があると警告し、米国が中国の軍事力弱体化のためインド太平洋地域に戦略的焦点を移す必要性を強調しました。
一方、ドイツで開催された軍事・防衛産業会議で講演したグリンケウィッチ氏も同様に、2027年がロシアと中国が同時に軍事作戦を開始する「発火点」となり、NATOの防衛能力が極限まで試される可能性があるとの見解を示しています。
台湾有事と欧州戦線:二正面作戦への備え
さらにグリンケウィッチ氏は、NATOで行われた中露両国の軍事協力に関する最新の研究結果として、中国の習近平国家主席が台湾への侵攻を決断した場合、ロシアがこれに呼応してヨーロッパ方面での侵略を拡大する可能性が指摘されていることに言及しました。このシナリオでは、米国およびNATOは太平洋と大西洋の両方で、中国とロシアとの二正面作戦に対応する覚悟が求められると警鐘を鳴らしています。同氏は、「準備に多くの時間はなく、迅速な行動が必要だ」と強調しました。
中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が連携し、2027年に台湾侵攻と欧州での軍事行動を同時開始する可能性について、欧米の専門家が警告する様子
実際、ロシアはウクライナ戦争の延長線上でNATOとの軍事衝突を想定した軍備増強を進行させており、中国も台湾有事を見据えて核戦力を含む軍事力の強化を加速させています。両国は既存の国際秩序の変革を目指し、戦略的連携を深めていることから、NATO関係者の間では危機感がかつてないほど高まっています。
結論
2027年という具体的な年が複数の高官によって言及されたことは、中国とロシアによる同時軍事行動の可能性が、単なる憶測ではなく、西側の安全保障専門家の間で具体的な脅威として認識されていることを示唆しています。国際社会、特に米国と同盟国は、この二正面作戦の可能性に備え、防衛体制の強化と戦略的な連携をより一層深めることが喫緊の課題となっています。
参考文献
- Yahoo!ニュース: 「中国が台湾侵攻を決断したらロシアが呼応する可能性も(習近平主席/EPA=時事)」 https://news.yahoo.co.jp/articles/07656c358ce576e986e6f1d71ad6598094881a47 (Original Source Link)