夏本番、特別な旅をお探しの方へ。鉄道ファン・ダーリンハニー吉川正洋氏が選定する、この夏訪れるべき穴場路線をご紹介。著書『妄想鉄道ガイドブック』で培われた彼の知見から、普段見過ごされがちな鉄道の魅力を深掘りします。
1. 水と緑の絶景を巡る「京都丹後鉄道」
京都府北部を中心に、丹波・丹後と兵庫県但馬地域を結ぶ京都丹後鉄道は、インバウンドで賑わう京都市内とは一線を画す、隠れた魅力に満ちています。特に、水面が近く絵になる「由良川橋梁」の眺めは圧巻で、夏の青空の下で一層輝きを増します。
車両面では、水戸岡鋭治氏デザインの特急「丹後の海」や、「くろまつ」「あかまつ」など個性豊かな観光列車が旅を彩ります。さらに、かつてJR東海で活躍した特急『ひだ』『南紀』のキハ85系を改良したKTR8500形が現役で走行している点も、鉄道ファンにはたまらない魅力です。秘境駅「辛皮駅」も存在し、風光明媚な海岸線と合わせて夏ならではの鉄道体験が満喫できます。
2. 清流四万十川とホビートレインの旅「予土線」
JR四国の愛媛県南西部と高知県西部を結ぶ予土線は、日本最後の清流と呼ばれる四万十川の雄大な景色を満喫できる路線です。夏の暑さの中でも、車窓から流れる四万十川の美しい水面は、心身ともに涼やかな気持ちにさせてくれます。
夏限定で運行されるトロッコ列車に乗車すれば、川風を感じながらのんびりと景色を堪能できます。子供たちにも大人気の「ホビートレイン」は、おもちゃのようなユニークな外観で、大人も笑顔になる魅力です。夏休みには、四万十川での川遊びと組み合わせた列車旅が、家族連れにとって最高の思い出となるでしょう。
今回ご紹介した京都丹後鉄道と予土線は、観光ガイドには載りにくい「穴場」ながら、吉川氏が太鼓判を押す特別な魅力に溢れています。美しい自然景観、ユニークな車両、地域に根ざした体験は、きっとあなたの夏の思い出を彩るはず。次の休暇に訪れてみてはいかがでしょうか。