元TBSアナウンサーの宇垣美里さんが、深い映画愛を持つ彼女ならではの視点で映画『顔を捨てた男』の魅力に迫ります。外見の変貌は人生をどう変えるのか。この心理スリラーの傑作が問いかける、自己の根源と現実の狭間を探ります。
映画『顔を捨てた男』について深く語る宇垣美里氏
誰もが抱く「もし見た目が変わったら…」という問い
「もしもっと美しければ、背が高ければ、手足が長ければ…」。誰もが一度は抱く感情です。一歩踏み出す勇気がない時、人は変えられない身体的特徴を言い訳にしがちですが、それは真実でしょうか?見た目が変われば、あなたの人生は本当に見違えるものになるのでしょうか?この作品が淡々と突きつけるその問いの答えはどこに。いいや、見つけたくない。
理想の顔を手に入れた男、エドワードの苦悩と変貌
俳優を夢見ながらも、容姿にコンプレックスを抱き内向的だったエドワード。彼は隣人イングリットに惹かれ、勇気を出して治験に参加し、痛みと引き換えに新しい顔を手に入れる。エドワードとしての自分を捨て、別人として輝かしい人生を歩み始めた彼だったが、イングリットとの再会で運命が狂い始める。彼女の作品で、かつての自分に酷似した顔を持ちながら皆に愛されるオズワルドと出会うのだった。
内面から滲み出る魅力:エドワードとオズワルドの対比
人の魅力や個性はどこから来るのか。神経質で受動的なエドワードは、顔が美しくなっても内面や印象は変わらない。対してオズワルドは、外見を気にしない快活さと、内から滲み出る魅力を持つ。オズワルドの中に「あり得たかもしれない未来」を見せつけられたエドワードは、かえって過去の自分に執着し、泥沼にはまっていく。セバスチャン・スタンが、この滑稽で切なく物悲しいエドワードを怪演する。
まとめ:外見と内面の奥深い関係を問い直す心理スリラー
映画『顔を捨てた男』は、スリラーを超え、外見の変化と人間の本質を深く問いかける。宇垣美里氏も指摘するように、見た目が変わっても内面の幸福に直結するとは限らない。普遍的なテーマが描かれ、観る人それぞれが、自身の外見と内面の関係性について問い直すきっかけとなるだろう。
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