高橋文哉、『あんぱん』で見せる“眉間の魅力”:演技分析から紐解くその秘密

NHK総合の朝ドラ『あんぱん』でレギュラー出演中の俳優・高橋文哉が、視聴者を惹きつけるその独特の魅力を放っています。特に戦時下の厳しい状況を描いた場面においても、彼が演じる辛島健太郎役は希望の象徴として輝きを放ち、その中心にあるのが「眉間の魅力」だとコラムニストの加賀谷健氏は指摘します。男性俳優の演技に深い洞察を持つ“イケメン・サーチャー”加賀谷氏の分析を通して、高橋文哉がいかにしてその人懐こく愛らしい存在感を画面上に定着させているのかを深掘りします。

視聴者を魅了する高橋文哉のクッキングシーン

『あんぱん』第10週第47回では、主人公・若松のぶ(今田美桜)の夫となる柳井嵩(北村匠海)の戦友である辛島健太郎(高橋文哉)が、召集を前に福岡へ帰郷する場面が描かれます。この中で印象的なのが、健太郎が嵩のために食卓を囲むクッキングシーンです。嵩が帰宅すると、健太郎は台所で玉ねぎを刻んでおり、目に染みて「くうぅ〜、かぁ〜」と漏らすキュートな声が、彼の愛らしいキャラクター性を際立たせます。このようなちょっとしたリアクションのセリフ一つで視聴者を“キュン”とさせる高橋文哉の演技は、まさに愛おしさが溢れるものです。戦時中にもかかわらず、彼が勤務する広告会社から分けてもらった材料で豪華なカレーライスを手際よく調理する姿は、友への温かい心遣いを映し出し、心に残るクッキング場面を創り上げています。

あんぱん』での高橋文哉、キュートな表情で料理をする辛島健太郎役の場面あんぱん』での高橋文哉、キュートな表情で料理をする辛島健太郎役の場面

「人懐こい眉間」が語るキャラクターの内面

召集を知らない嵩が勤務先での葛藤をこぼす際、健太郎は黙って耳を傾け、「ぼやいとらんと、ちゃんとカレー味わってくれん」と変に励ますことなく促します。この温かく、絶妙な心遣いこそが彼の真骨頂です。そして、カレーライスを食べ進め、水を一口飲んだ際に、眉間をキリッとさせる高橋の表情は、健太郎の真っ直ぐで底抜けに可愛らしい性格を瞬時に理解させます。加賀谷健氏は、この眉間の動きを「人懐こい眉間」と形容し、視聴者に健太郎の愛すべき人間性を伝える重要な要素だと分析します。

他作品でも際立つ高橋文哉の「眉間」の演技

この「人懐こい眉間」の魅力は、『あんぱん』に限定されるものではありません。高橋文哉が主演したドラマ『伝説の頭 翔』(テレビ朝日系、2024年)では、伝説の不良といじめられっ子という一人二役を見事に演じ分けました。この二役のメリハリをつける上で、彼は大胆にもほとんど眉間の動きだけで違いを表現していました。異なる役柄であるにもかかわらず、どちらの役でもその「眉間」からは変わらない「人懐こさ」が感じられ、高橋文哉の演技における一貫した強みであることが示されています。

高橋文哉が持つ「眉間の魅力」は、『あんぱん』における辛島健太郎役の希望に満ちた存在感を形作り、その温かく人懐こい性格を深く表現しています。これは単なる表情筋の動きを超え、彼自身の演技の幅と深さを示すものです。今後も高橋文哉の、細部に宿る魅力的な演技から目が離せません。

参考文献: