ウクライナ侵略を続けるロシアによる情報戦が激化している。露情報機関・対外情報局(SVR)は29日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の側近や米英が、ゼレンスキー氏の退陣を画策していると主張する発表を行った。ウクライナ国防省の情報機関「情報総局」は同日、発表を偽情報だと否定し、ウクライナを攻撃する情報操作の一環だと非難した。
SVRの発表は、米英の代表者がアルプス地方の保養地で、ウクライナのアンドリー・イェルマーク大統領府長官や現駐英大使のワレリー・ザルジニー前軍総司令官らと密会したという内容で、「ゼレンスキー氏の後任はザルジニー氏とすることで合意した」などと主張した。
ザルジニー氏は、ゼレンスキー氏が昨年、軍総司令官から解任した人物だ。プーチン露政権は、ウクライナが大統領選を延期していることを口実に、ゼレンスキー氏に大統領の正統性がないと主張している。
ウクライナ情報総局は今回のSVRの発表を、「軍事、政治の指導部内に不信感を植え付け、社会の関心を戦争から選挙に切り替え、不和を誘発する目的だ」と批判した。