消費者庁が警告!ヒロミ氏起用「ベアーズホーム」高額請求トラブルとタレントサブスクの課題

消費者庁は7月31日、ウェブサイト上で低額料金をうたいながら、実際には高額な費用を請求する業者に関する注意喚起を発表しました。その対象となったのは、株式会社ベアーズホームが運営する「関東水のトラブル相談センター」などのサイトで、広告には人気タレントのヒロミ氏(60)が起用されており、多くの消費者がその信頼性から被害に遭った可能性が指摘されています。

「水のトラブル」で高額請求!ベアーズホームの手口と消費者被害

消費者庁の調査によると、兵庫県神戸市に拠点を置く株式会社ベアーズホームは、「関東水のトラブル相談センター」「関西水のトラブル相談センター」といったウェブサイト上で、最大3万5000円程度の料金で水のトラブルに対応すると表示し、依頼を受け付けていました。しかし、実際に依頼すると、詳しい料金説明がないまま作業員が訪問し、作業後に3万5000円をはるかに超える高額な料金が請求される事例が各地の消費生活センターに多数寄せられています。中にはトイレのつまり解消作業で数十万円を請求されたケースもあり、深刻な消費者トラブルに発展していました。

消費者庁が警告!ヒロミ氏起用「ベアーズホーム」高額請求トラブルとタレントサブスクの課題

高額請求トラブルの広告に起用されたタレント・ヒロミ氏のイメージ

このような、生活に必要な急なトラブル解決をうたいながら過剰な料金を請求する悪質な手口は、「悪徳レスキュー商法」や「レスキュー詐欺」と呼ばれ、以前から消費者庁が注意喚起を行っているものです。問題となったベアーズホームのウェブサイトには、「水のトラブル即解決!」「水道つまり漏れ2980円~」といった文言とともに、作業着姿で腰に手を当てるヒロミ氏の笑顔の写真が堂々と掲載されていました。DIYの腕前で知られ、多くのレギュラー番組を持つヒロミ氏が広告に登場していたことで、「信頼できる業者」だと信じてしまった消費者が少なくなかったと考えられます。しかし、なぜヒロミ氏のような有名タレントが、詐欺的とも取られかねない商法の広告に起用されることになったのでしょうか。

有名タレントが中小企業を支援?「タレントサブスク」の仕組み

ベアーズホームがヒロミ氏をプロモーションに起用した背景には、株式会社ブランジスタエールが運営する事業「ACCELJAPAN(アクセルジャパン)」への参画があります。アクセルジャパンは、中小企業の成長を支援する目的で、「タレント素材のサブスクリプションサービス」を提供しているのです。通常、タレント広告は出演料を含め数千万円単位の高額な費用がかかることがありますが、アクセルジャパンは芸能事務所との契約、撮影費用、制作費など全てを担い、参画企業は定額料金で有名タレントの写真や動画素材を広告などに利用できるという仕組みです。これにより、これまでタレント広告に手が届かなかった中小企業にとって、大きなメリットが生まれています。アクセルジャパンではヒロミ氏のほか、小池徹平氏(39)、名倉潤氏(56)、長嶋一茂氏(59)、三浦翔平氏(37)、お笑いコンビのさらば青春の光などがアンバサダーを務めており、参画企業はこれらのタレント素材を自社サービスの商材、広告、ウェブサイトなどで幅広く活用できます。つまり、今回のケースでは、ヒロミ氏が悪徳なレスキュー業者と直接広告出演契約を結んでいたわけではなく、タレントサブスクサービス内で写真が利用された形となります。

注目集まる「タレントIPマーケティング」の光と影

PR会社社員は、次のように説明します。「芸能事務所と提携し、知名度のあるタレントやアスリート、著名人の宣伝画像をサブスク型で提供するサービスは『IPマーケティング包括支援』として、近年注目されているビジネスモデルです。『Skettt(スケット)』や『サブタレ』など、アクセルジャパン以外にも同様のサービスが存在し、タレントにもよりますが、概ね数十万円で素材を利用することが可能です。これまで高額でハードルの高かった有名タレントを低コストで広告に使えるため、大企業のような広告予算がない中小企業の強力な味方としてビジネスを拡大していました」。

一方で、夕刊紙記者はこのビジネスモデルに潜むリスクについて指摘します。「鉄道の車内広告などで、有名タレントやアスリートが地元の企業や病院の広告に利用されているケースはよく見られますが、これもこのサービスの一環であることが多いです。とはいえ、タレントの画像や動画が見知らぬ企業に使われるわけですから、今回のヒロミ氏のケースのように、高額請求を行っていた企業に自分の素材が使われるリスクは常に存在します。サービス提供側では参画企業に対する厳正な審査を行っているはずですが、残念ながら今回はそのような事態が発生してしまいました。今回のトラブルは、タレントサブスクサービスが抱える潜在的な問題点を浮き彫りにしたと言えるでしょう。」

今回のトラブルを受け、アクセルジャパンやヒロミ氏側が今後どのような対応を取るのか、そして消費者保護と広告倫理の観点から、タレントサブスクリプションサービスの運用における審査基準や透明性がどのように見直されるのか、今後の動向が注目されます。

参照元

消費者庁 消費生活注意喚起:株式会社ベアーズホームが行う水回り等の修理役務に関する注意喚起
Source link: news.yahoo.co.jp/articles/7fc83b9cb6d7881b98859964c87979cfbfff2a9f