「運動が体に良いと分かっていても、なかなか習慣化できない…」これは多くの人が抱える共通の悩みです。多忙な日々の中で、運動は後回しになりがちで、気づけば月に一度も体を動かしていない、ということも珍しくありません。しかし、健康を維持し、血管を若々しく保つためには、運動は不可欠です。特に血圧や血糖値の改善を考える方にとって、運動は食事と並ぶ「善玉血液」を作り、守るための重要な生活習慣と言えます。
運動が血管と健康にもたらす効果
運動が血管の健康を維持するために効果的であることは、数多くの研究で実証されています。運動習慣がない方にとっては億劫に感じるかもしれませんが、その効果は計り知れません。
血圧低下の効果
運動が血圧を下げる効果は、主に以下の3つの理由が考えられます。
- 減少する循環血液量: 運動により体から余分な水分とナトリウムが排出されることで、循環している血液量(循環血液量)が減少し、血圧が自然と下がります。
- 一酸化窒素(NO)の分泌促進: 運動によって血流が良くなると、血管を拡張させる作用を持つ一酸化窒素(NO)の分泌が促進されます。NOの効果で末梢血管が広がると、血圧は下がります。
- リラックス効果による交感神経の抑制: 運動は精神的なリラックス効果ももたらします。これにより、血圧上昇に関わる交感神経の働きが抑制され、結果的に血圧の上昇が抑えられます。
血糖値改善の効果
運動が血糖値を下げる効果もまた、広く知られています。体を動かすことで筋肉がエネルギー源としてブドウ糖を消費するため、血液中のブドウ糖が効率的に減少し、血糖値が改善されるのです。
運動習慣を継続するための鍵
運動や食事による健康効果は、その場限りではなく、いかに継続できるかが最も重要です。一度だけの運動で「善玉血液」が作られるわけではありません。しかし、「運動が続かない」という高い壁を感じている方も少なくないでしょう。
運動継続の具体的なコツ:人を巻き込む
運動を継続するための有効なコツの一つは、「人を巻き込む」ことです。例えば、新型コロナウイルス感染症が流行した際には外出自粛が続き、運動不足になる人が増え、健康問題が浮上しました。このような状況下でも、家族や友人と一緒にオンラインでエクササイズをする、あるいは散歩の時間を共有するといった工夫で、運動のモチベーションを維持しやすくなります。誰かと一緒に取り組むことで、運動が義務ではなく、楽しい交流の時間へと変わり、継続へのハードルが下がります。
運動継続の重要性を示す、自宅でランニングマシンを使う女性の姿
結論
健康な血管を維持し、血圧や血糖値を適切に管理するためには、運動習慣の定着が不可欠です。一時的な取り組みではなく、いかに日々の生活の中に運動を組み込み、継続していくかが「善玉血液」を作る上で最も大切な要素となります。運動の効果は科学的に裏付けられており、たとえ小さな一歩からでも、その継続が未来の健康へと繋がります。
参考文献
- 本稿は『世界一の心臓血管外科医が教える 善玉血液のつくり方』からの抜粋記事です。