昨年10月、茨城県庁で悲劇が起きた。飯塚博之副知事(62)の秘書を務めていた桜木拓也さん(仮名、享年41)が自ら命を絶ったのだ。彼の死を巡っては、遺族が飯塚副知事によるパワハラが原因であると訴え、その苦悩を綴った遺書も残されていた。しかし、県が設置した第三者委員会の結論は、遺族の期待を裏切るものだった。この問題は、茨城県政における権力構造の闇を浮き彫りにしている。
第三者委員会の「パワハラなし」結論と遺族の不満
桜木さんの自死を受け、茨城県は昨年11月に極秘裏に第三者委員会を設置し、死因の調査を進めた。しかし、今年2月に公表された最終報告では、飯塚副知事と秘書課長に対し「厳重注意」という最も軽い処分を下し、パワハラの事実はなかったと結論づけた。これに対し、桜木さんの遺族は「第三者委の対応に納得はいっていない」と強く反発。調査の透明性や結論の妥当性に対し、深い不信感を抱いていることが伺える。
飯塚副知事へのパワハラ疑惑と大井川県政の実態
「週刊文春」の報道によれば、飯塚副知事は大井川和彦知事(61)の側近中の側近として知られ、会議の場では部下に対して長時間にわたり執拗な指摘を繰り返すことで、多くの職員を精神的に疲弊させてきたという。直接的な怒声こそないものの、その粘着質な指導がパワハラに当たるとの声が県庁関係者から上がっている。さらに、飯塚氏を任命した大井川知事自身も、職員へのパワハラ、公用車の私的利用、県の最高意思決定機関での議事録を残さないなど、「独裁」とも称される県政運営が問題視されてきた。これらの疑惑は、県政全体に不透明な影を落としている。
茨城県の飯塚博之副知事が、元秘書の桜木拓也さんの自死を巡るパワハラ疑惑について、厳しい視線に晒されている様子。
故・桜木氏の変貌と遺族が訴える無念
桜木さんは、かつて明るく活発な人柄で知られ、野球好きで県庁内のスポーツ大会の幹事を務めるほどの優秀な職員だった。しかし、飯塚氏が副知事に就任して以降、彼は「みるみる元気がなくなり、白髪が増え、やつれていった」と、彼をよく知る県庁関係者は語る。桜木さんが亡くなる数日前、友人に「上が最悪だから辞めたい」と弱音を吐いていたことも、彼の精神的負担の深刻さを物語っている。遺族は、桜木さんが残した遺書の詳細な内容を公開し、彼の死の真実を訴え、副知事の非道な行いを明らかにし、大井川知事率いる県政に強く改善を求めている。
結論
茨城県庁で起きた職員の自死は、単なる個人の悲劇に留まらず、県政におけるパワハラの実態と組織としての責任の重さを浮き彫りにしている。第三者委員会の結論が遺族の納得を得られていない現状は、さらなる透明性と真摯な対応の必要性を示唆している。亡くなった桜木さんの無念を晴らし、同様の悲劇が二度と繰り返されないよう、県庁はより一層、開かれた組織運営とハラスメント防止策の徹底が求められる。
参考文献
- 週刊文春 2025年4月10日号「茨城県・飯塚副知事のパワハラを訴える遺書」
- Yahoo!ニュース(引用元記事)