三代目J SOUL BROTHERSの今市隆二が、今年4月に酒に酔った状態でタクシー運転手に対し暴行と脅迫を行った疑いで、警視庁に書類送検されていたことが7月30日に明らかになった。この報道を受け、所属事務所LDHは謝罪と活動自粛を発表したが、被害者側との示談状況については食い違いが生じている。
事件の概要と所属事務所の対応
報道によると、今市隆二は運転席と後部座席の間にあるアクリル板を殴るなどの行為に及んだとされ、一部では「殺すぞ」といった暴言を吐いたとも報じられている。この書類送検を受け、LDHは7月31日に公式サイトで謝罪コメントを発表。ファンや関係者、そして乗務員やタクシー会社へ謝罪の意を表明した。さらに翌8月1日には、今市隆二が当面の間活動を自粛することを決定し、8月3日開催の「鷹祭 SUMMER BOOST 2025」には今市を除く6名で出演するとした。今市本人もまた、「自己の行動を深く反省し、これまでの自分を見つめなおす機会とすることを決意しております」とコメントを発表している。
三代目J SOUL BROTHERSのボーカル今市隆二のポートレート写真。
示談状況に生じた齟齬
LDHは7月31日の発表で、「4月中に本人よりタクシー会社様へ謝罪と示談の申し入れを行い、現在、当該会社様との間では既に示談が成立しております」と、タクシー会社との示談が成立している旨を公表した。しかし、同日、被害に遭ったタクシー運転手の代理人弁護士事務所が公式サイト上で、LDHの発表内容と異なる声明を出した。「今市氏や所属芸能事務所に対して、示談金や解決金等の名目を含め一切の金銭請求や金銭提案をしたことはこれまでなく、金銭目的で被害届を提出した事実もありません」「今市氏からは、代理人弁護士を通じて、謝罪及び示談提案がありましたが、現時点において示談は成立しておりません」と発表し、今市とタクシー運転手本人との間では示談が成立していないことを示唆した。LDHもその後、「乗務員様に対しても、本人から真摯な気持ちで謝罪と和解の申し入れを行っており、今後も誠意ある対応を続けてまいります」と言及しており、食い違いが浮き彫りとなっている。
示談未成立の背景:元検事弁護士の見解
今市隆二とタクシー運転手の間で示談が成立していない原因はどこにあるのか。元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏は、この状況について専門的な見解を示した。一般的に、運転手との示談ができていない場合、「運転手さんの今市さんに対する処罰感情が強い」ことが考えられるという。事件発生時の「恐怖、不安が耐えがたきもので、『いまだに心の傷として残っているので、厳しい処罰を望みたい』」という被害者側の感情が強い場合、示談が成立しないことがあると若狭氏は指摘する。このような被害者側の強い感情がある場合、これまでに提示された示談金や和解金よりも高額な金額が提示される可能性もある。さらに、示談金や和解金による示談が成立したとしても、被害者が「処罰はしてほしい」と訴えるケースも存在し、今回のケースでは運転手の処罰感情の強さが背景にある可能性が高いと見られている。
今後の見通しと求められる姿勢
書類送検されてから検察が最終的な判断を下すまでには、およそ1カ月の期間を要するとされる。今市隆二には、検察の判断を待つ間も、自身が起こした行動を心から反省し、誠実な対応を続けることが求められる。