日本保守党の代表で参院議員の百田尚樹氏(69)が6日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、広島市で開催された平和記念式典への参加を報告。その中で、式典出席者によるあいさつの一文「過ちを繰り返しません」に強い違和感を覚えたと指摘し、波紋を広げています。
百田氏が指摘した「過ち」の対象
百田氏は、平和記念公園の写真を投稿しつつ「平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式)に参列」したことを明かしました。その上で、式典の厳かさに身が引き締まる思いを抱きながらも、複数のあいさつで発せられた「過ちを繰り返しません」という言葉に疑問を呈しました。同氏は、「広島市民も日本国民も原爆に関して何も過ちを犯していないし、その責任もない。過ちは米国が犯したものである」と強く主張。原爆投下における責任の所在を明確にしました。
米国からの謝罪への期待
さらに百田氏は別の投稿で、80年前の米国を声高に糾弾する意図はないと前置きしつつも、米国政府が「原爆投下は過ちであった。我々はしてはいけないことをしてしまった」という言葉を発することの重要性を訴えました。この米国からの言及があれば、被爆者の霊が幾分かは慰められるのではないかとの考えを示し、歴史認識における一方的な「自虐史観」ではない、相互理解の重要性を暗に示唆しました。
平和記念式典に関する発言で注目を集める日本保守党の百田尚樹代表
SNS上での賛否両論
百田氏の一連の投稿は、X上で活発な議論を巻き起こしました。賛同する声としては、「まさに自虐史観による表現。『過ち』とは誰のどの行為を指すのか、強い意志をもって改めていくべき」といった意見や、故・石原慎太郎氏の「『過ちを繰り返しません』ではなく『過ちを繰り返させてはならない』が日本として正しい表現」という言葉を引用し、日本の政治家がこの表現を言えない現状を嘆く声が挙がりました。
一方で、異なる視点からの意見も多く見られました。あるユーザーは「この碑文の主語はわれわれ人類全てであり、過ちとは原爆のことのみならず戦争全般のことなのです。日本ももちろん戦争に加担したので過ちを犯しました」と指摘。さらに、「あの場所では、日本が…アメリカが…ではなくて国境をとりはらって世界のなかの一人類として、戦争と核兵器の犠牲になられた全ての御霊に向き合う」べきだと述べ、平和記念式典のメッセージが特定の国や行為に限定されるものではなく、人類全体の戦争責任と平和への誓いを意味するという見解を示しました。
百田氏の発言は、日本の近現代史における「過ち」の解釈、原爆投下の歴史的評価、そして平和への誓いのあり方について、改めて社会的な議論を喚起するものとなりました。
参照
- Yahoo!ニュース: 百田尚樹氏、平和記念式典での「過ちを繰り返しません」発言に異議 SNSで議論沸騰