訪米中の赤沢亮正再生相は、現地時間8月7日(日本時間8日)に、日米間の合意内容と齟齬があった米国の相互関税に関する大統領令について、米国側がこれを適時修正し、新税率発動日である今月7日に遡って払い戻す方針であることを明らかにした。この発表は、日米間の複雑な貿易問題、特に相互関税を巡る懸念が解消に向かう重要な一歩となる。
日米相互関税問題の経緯と修正の合意
赤沢再生相は、ラトニック米商務長官およびベセント米財務長官との協議後、記者団に対し、相互関税の大統領令が日米間の合意内容と食い違っていたことは「極めて遺憾」であると表明した。米国側からは、この齟齬が内部の事務処理に起因するものであり、今回の手続きについて遺憾の意が表明されたという。これまでの日本政府の説明では、日本への相互関税率15%については、既存の関税率が15%以上の品目には課さず、15%未満の品目には既存の関税を含めて15%とすることで米国と合意していた。
今回の合意により、大統領令の修正と同時に、自動車・同部品の関税を引き下げる大統領令が発出されることも確認された。赤沢氏は、相互関税の修正時期について「半年、1年ということは当然ない」、「常識的な範囲で米側が対応すると理解している」と述べ、速やかな対応が期待される。
日米貿易問題を巡り会見する赤沢亮正再生相(資料写真)
共同文書を巡る日本政府の立場
関税合意を巡っては、共同文書を作成しなかったために日米間で齟齬が生じたとの批判が日本国内から上がっていた。これに対し赤沢再生相は、相互関税の税率引き上げ期限が8月1日に迫る中で、「米側が納得するまで文書を詰めていれば、25%の相互関税が課されていた」と説明し、共同文書を作成しない判断が、より深刻な事態を避けるためであったことを強調した。
今後も「文書を作らないポジションは変わらない」とし、「米側が納得するまで文書を詰めてから関税が引き下がるのは困る」との認識を示した。一方で、日本国内向けの文書作成については「適宜適切に判断する」と述べるにとどめた。これは、国際的な交渉においては柔軟な対応が必要であるとの認識を示すものと言える。
対米投融資に関する協議と今後の展望
米閣僚との協議では、日米で合意した5500億ドル(約80兆円)の対米投融資についても議論が行われた。赤沢氏はこの議論の内容については詳細を明らかにせず、トランプ大統領がこの資金を自由に扱えると発信していることについて、「トランプ節という感じ」とコメントした。
今回の相互関税問題の解決は、日米間の経済関係における信頼を再構築し、今後の貿易交渉や投資協力において前向きな影響をもたらすことが期待される。複雑な国際貿易関係において、両国が合意内容に基づいた迅速な是正を行うことは、安定した経済環境を維持する上で極めて重要である。
参考文献
- Reuters. (2025年8月8日). 赤沢再生相、米相互関税巡る大統領令修正と自動車関税引き下げを確認. Yahoo!ニュース. https://news.yahoo.co.jp/articles/b9a26f918978b6a039b2fd8f77f10d7de80f8d4d