トランプ氏、雇用統計「改ざん」を改めて主張:バイデン政権の経済指標に疑義

アメリカのドナルド・トランプ前大統領は7日、以前から繰り返している「雇用統計が意図的に操作された」との主張を改めて展開しました。彼は、市場予想を下回った先月の雇用統計の数字が、現バイデン政権が任命した労働統計局(BLS)のエリカ・マッケンターファー局長らによって「わざと」改ざんされたものだと断言しています。この発言は、バイデン政権の経済政策に対する批判を強める動きの一環とみられます。

トランプ氏の雇用統計改ざん主張の背景

トランプ大統領は記者団に対し、「『間違い』でも問題だが『わざと』だと思う」と述べ、雇用統計の数字が単なる誤りではなく、意図的な操作によるものだと強調しました。その矛先は、バイデン政権が任命したBLSのエリカ・マッケンターファー局長らに向けられており、前政権下で公正に運用されていた機関が、現政権下で政治的な意図を持ってデータに介入していると示唆しています。

ヘリテージ財団専門家の指摘と独自データ

トランプ氏の会見には、保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」の経済学者、ステーブン・ムーア氏が同席しました。ムーア氏は、BLSがバイデン政権の過去2年間で、雇用創出数を150万人も「過大評価」していたと説明し、バイデン政権の経済運営に疑問を投げかけました。

さらにムーア氏は、「未公開データによる最新の数字」として、トランプ氏就任後の2017年1月下旬から同年6月下旬までの平均的な世帯収入の中央値(インフレ調整後)が1174ドルも増加したと称賛しました。彼は、第1次バイデン政権下と第1次トランプ政権下での平均的な世帯収入の増加を比較した場合、トランプ大統領のもとで「10倍も増加」していると強調し、自身の経済実績をアピールしました。

トランプ氏とヘリテージ財団のステーブン・ムーア氏が経済指標について会見する様子トランプ氏とヘリテージ財団のステーブン・ムーア氏が経済指標について会見する様子

データの信憑性とトランプ氏の意図

しかしながら、ムーア氏が算出したとされるこれらの「最新の数字」の元データは、現時点では未公表であり、「半年以内」に公表される予定とされています。そのため、現時点ではその内容を外部から検証することは不可能です。トランプ氏が、自身に近い関係者を通じて経済データを示させることで、労働統計局長の解雇を正当化し、自身の政権下での経済状況が良好であったと有権者にアピールする狙いがあると考えられます。これは、来たる大統領選に向けた戦略的な動きであるとみられています。

結論

トランプ前大統領は、バイデン政権下の雇用統計が「改ざん」されていると改めて主張し、自身の経済的実績を強調する独自のデータを提示しました。しかし、これらのデータの検証可能性には疑問が残ります。この一連の動きは、次期大統領選を控える中で、経済指標を巡る政治的攻防が激化している現状を浮き彫りにしています。

参考資料