米露首脳会談、ウクライナ停戦に向け「土地交換案」が焦点に

ドナルド・トランプ前米国大統領は8日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と15日に米アラスカ州で会談することを自身のSNSで発表しました。この対面での米露首脳会談は、2021年6月以来であり、ロシアがウクライナへの本格的な侵攻を開始した2022年2月以降では初となります。今回の会談は、ウクライナ紛争の停戦や和平に向けた具体的な打開策につながるかが国際社会の大きな焦点となっています。

会談の背景とウクライナ停戦への期待

トランプ氏がプーチン大統領との会談を公表した背景には、長期化するウクライナ危機の解決に対する国際的な圧力と、彼自身が以前から言及してきた停戦交渉への意欲があります。両首脳の直接対話は、これまで停滞していた外交努力に新たな動きをもたらす可能性を秘めています。

トランプ前米大統領とロシアのプーチン大統領が会談する様子。ウクライナ停戦交渉の行方が注目される。トランプ前米大統領とロシアのプーチン大統領が会談する様子。ウクライナ停戦交渉の行方が注目される。

トランプ氏提唱の「土地交換」案とロシア側の提案

ホワイトハウスで記者団に対し、トランプ氏は検討中の停戦案について「ロシアとウクライナ双方の利益になるよう、土地の交換を行うことになるだろう」と具体的な構想を明かしました。しかし、彼は「非常に複雑だ」とも述べ、交渉が難航する可能性も示唆しています。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が8日に報じたところによると、ロシア側はウクライナ東部のドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)をウクライナが割譲することと引き換えに、「完全な停戦」に応じる方針を提示しているとされます。この提案は、プーチン大統領が6日に米国のスティーブン・ウィトコフ中東担当特使と会談した際に持ちかけられたと報じられています。

トランプ氏は、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に対し、停戦に関する合意文書への「署名の準備を進めなければならない。彼はそのために懸命に働いていると思う」と発言しました。

ウクライナと欧州諸国の反応、そして「二次関税」の行方

しかしながら、このロシア側の提案はウクライナ側に大幅な領土的譲歩を求めるものであり、ウクライナ政府からの強い反発は避けられないと見られています。また、ロシア側の提案について米国から説明を受けた一部の欧州諸国からは、ロシア軍が一部を実効支配する南部ヘルソン、ザポリージャ両州の地位についても明確にするよう求める声が上がっていると伝えられています。

トランプ氏は以前、ロシアが停戦に応じない場合、ロシア産エネルギーなどを購入する第三国に「二次関税」を課すと表明していました。政権は6日、実際にインドへの追加関税を課すことを公表したものの、8日夜時点では新たな措置は発表されていません。

ロシア側の意向と今後の展望

一方、ロシアのタス通信によると、ユーリー・ウシャコフ大統領補佐官は15日の首脳会談について、「ウクライナ危機の長期的な平和的解決のための選択肢について議論することに集中するだろう」と記者団に語りました。さらにウシャコフ氏は、次回の首脳会談をロシア領内で開催することを期待しており、トランプ氏に既に招待状を送付したことも明らかにしました。

今回の米露首脳会談は、ウクライナ紛争の現状を大きく左右する可能性を秘めています。特に「土地交換案」というセンシティブな提案がどのように議論され、関係各国の反応がどうなるか、その動向が注視されます。平和への道筋が見いだせるか、極めて複雑な交渉が予期されます。

参考文献

  • ロイター通信 (Reuters)
  • ウォール・ストリート・ジャーナル (The Wall Street Journal)
  • タス通信 (TASS)
  • Yahoo!ニュース (Yahoo! News Japan) – 元記事: news.yahoo.co.jp/articles/6d96d681bbd68e0d659a094a9afa5c39ca4d34f1