和歌山県岩出市の児童発達支援センター「ネウボラロッツ」に通所していたダウン症の男児(当時5歳)がミートボールを喉に詰まらせて死亡した事故で、遺族が施設の運営法人などを相手取り、計約1億1000万円の損害賠償を求めて和歌山地裁に提訴したことがわかった。6月27日付。
訴状などによると、男児は2020年12月22日、施設内で刻まれずに提供されたミートボール(直径約3センチ)を誤嚥(ごえん)し、搬送先の病院で同28日に亡くなった。遺族側は、男児に咀嚼(そしゃく)機能などの障害があることを施設側は熟知していたとし、「極めてずさんな誤嚥対策しか講じておらず、安全配慮義務を尽くしたとは到底言えない」と訴えている。
事故を巡っては、和歌山県警が24年2月、女性理事長と元児童指導員を業務上過失致死容疑で書類送検したが、和歌山地検は今年3月、2人を不起訴とした。遺族は翌月、和歌山検察審査会に審査を申し立てた。
母親は読売新聞の取材に、「息子は帰ってこない。民事訴訟で真相を明らかにしてもらいたい」と話した。
運営法人の木下善博事務局長は「訴状は見たが、訴訟についてのコメントはない」としている。