肥満治療医、栄養研究者、そして医学・加齢学の教授であるカート・ホン氏は、食生活が加齢にどのような影響を与えるか、また患者が2型糖尿病やがんといった疾患にかかるのを防ぐための研究にその生涯を捧げてきました。彼は単に他者のためだけでなく、自身の若々しさを保つためにもこの研究に取り組んでいると語ります。
肥満治療医、栄養研究者、そして加齢学教授のカート・ホン氏
「年齢は単なる数字」と語る加齢学教授の哲学
3人の子を持つ52歳のホン教授にとって、年齢は単なる数字に過ぎません。なぜなら、日々の生活習慣が人の感じ方や振る舞いを大きく左右すると考えているからです。「体は52歳だと告げていても、35歳のように振る舞ったり、35歳のように感じたりすることはできる。逆もまたしかりです」と彼は強調します。さらに、加齢に伴う多くの慢性疾患が、食生活や体重と直接的に関連している点を指摘しています。
地中海式食事法:専門家が実践する健康食の基盤
健やかに年を重ねるためにホン教授が実践しているのは、シンプルかつ効果的な食事法です。彼は「地中海式食事法」を中心に据えています。この食事法は、新鮮な農産物、全粒穀物、健康的な脂質、そして脂肪分の少ないタンパク質を豊富に摂取することを基本とし、アメリカのニュース誌『U.S. News & World Report』の「ベスト・ダイエット」ランキングで8年連続「最も健康的な食事法」に選ばれるほど高い評価を受けています。コンシェルジュ型予防医療企業Lifeforceの最高医療責任者であり、南カリフォルニア大学の教授でもあるホン氏は、自身が健康を長く維持するために守っている食事ルールについて語っています。
カート・ホン教授が提唱する「最も重要な食事ルール」
ホン教授は、健康的な食生活の中で「最も重要」だと考えているシンプルな原則を明かしています。
果物と野菜、全粒穀物をしっかり食べる
彼が最も優先するのは、果物と野菜をしっかりと摂取することです。これらに加え、食物繊維が豊富な全粒穀物も積極的に摂るべきだと述べています。食物繊維を多く含む食事は、複数のがんのリスク低下、コレステロール値の改善、心血管疾患のリスク低下、そして全身の健康に影響を与える腸内マイクロバイオーム(大腸の粘膜に住む微生物群)の健全化と密接に関連していることが分かっています。
ホン教授はまた、「果物や野菜を摂ることのもうひとつの大きな利点は、同時に多くのビタミンを摂取できる点です」と付け加えています。実際に、植物性食品を多く食べる人々は、そうでない人々と比較して健康状態が良好である可能性が高いという、数々の科学的証拠が示されています。例えば、2019年にアメリカ心臓協会(American Heart Association)の学会誌に掲載された研究では、1万2,000人以上を29年間にわたって追跡調査した結果、1日あたり十分な量の植物性食品を摂取し、肉や加工肉をほとんど、あるいは全く食べない人は、肉やその他の動物性食品を多く食べる人に比べて、早死にするリスクが18%から25%低いことが明らかになりました。
まとめ
加齢学の専門家であるカート・ホン教授は、健康で長生きするための食生活の重要性を強調しています。彼自身も実践する地中海式食事法を基盤とし、特に「果物、野菜、全粒穀物を豊富に摂る」というシンプルな原則が、慢性疾患の予防や健康寿命の延伸に極めて重要であると提唱しています。食生活への意識的な取り組みが、年齢を感じさせない活力ある生活を送るための鍵となるでしょう。
参考文献
- Yahoo!ニュース(Business Insider Japan): 肥満治療医、栄養研究者であり、医学・加齢学の教授でもあるカート・ホン。](https://news.yahoo.co.jp/articles/cb5a8a5c36da71830d5a1f4b442dce24771a5fcf)